感染を防ぐために必要な手指消毒や点滴セットの消毒・交換頻度について解説。血液逆流時のフラッシュの方法や、血栓をつくらないためのロックのしかたも紹介します。

※この記事は『エキスパートナース』2026年5月臨時増刊号「点滴・輸液・夜勤 自信がつくキホンとコツ」の内容を再編集したものです。

感染を防ぐためのルート交換

Point1 看護師や患者の皮膚の常在菌により、菌血症に。手指消毒を徹底する

 人の皮膚には常在菌がおり、それらがカテーテルを介して血管内に混入すると、カテーテル関連血流感染(catheter related blood stream infection:CRBSI)の要因となります。

 感染経路は4つ知られています(①挿入部の皮膚微生物のカテーテルへの定着、②手や汚染された器具
によるカテーテルまたは接続部の汚染、③別の感染巣から血行性にカテーテルに播種する、④輸液の汚
染)1,2。②を予防するために、点滴セットは清潔な場所(ミキシング台)で手指衛生を行ってから準備し、ベッドサイドで手指消毒を行ってからルート交換を行いましょう(図1)。

 CRBSIの原因微生物としてCNS(coagulase negative Staphylococcus)、黄色ブドウ球菌Staphylococcus aureus)、カンジダ属が多いとされています(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉を含む)2

図1 点滴ルートを介した感染と手指消毒による予防
点滴ルートを介した感染と手指消毒による予防

Point2 点適セットの接続部も消毒する

 点滴セットのハブ(接続部)は、リネンや環境に触れ汚染されています。感染のリスクを低下させるために接続前にゴシゴシ拭くことが大切です(図2)。

 米国では接続部の消毒実施率は30%、接続部汚染はカテーテル感染の原因の50%を占めるとの報告もあり、消毒手技のばらつきをカバーするため、消毒用キャップを採用する施設もあります3。しかし、キャップも適切に交換されなければ効果がありません。キャップは毎回新しいものを準備します。一度取り外したキャップは再使用しないようにしましょう。

図2 点滴セットの接続部の消毒
点滴セットの接続部の消毒の図

Point3 頻回な点滴セットの交換は感染につながる

 点滴セットは、96時間以上間隔をあけて、少なくとも7日に1回は交換しましょう1。96時間以上間隔をあける意味は、頻回な交換で閉鎖回路が開放されることによる汚染リスクを減らすためです。ただし、血液・血液製剤・脂肪乳剤投与に用いた場合は24時間以内に交換します(図3)。

図3 点滴セットの交換頻度
点滴セットの交換頻度の図

 点滴セットを手指消毒しないで開封することや組み立てることは感染の要因になるため、交換する直前に手指消毒(前頁参照)をし、きれいな場所(ミキシング台)で準備をします。交換時はアルコール消毒したゴム栓やキャップを外した点滴セットの針に触れないようにしましょう。

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血液が逆流してきた場合の対応

Point1 逆流してきた血液は、生理食塩液で間欠的にフラッシュする

①血液の逆流は、静脈血栓や感染の原因になる

 血液の逆流によってフィブリン、脂質、薬物沈着物がカテーテル壁に付着すると、血栓や微生物コロニー形成の要因となり、静脈血栓カテーテル感染が生じる可能性があります。そのため、カテーテルと付属品(エクステンションチューブなど)のフィブリン沈着物を除去する目的で、カテーテルのフラッシュを行う必要があります。

 生理食塩液とヘパリンでは、末梢静脈カテーテルの開存性と凝固の持続時間に統計的有意差がないことが示されているため4、コストとヘパリンの影響(副作用として、ヘパリン起因性血小板減少症、出血がある)を考慮し、フラッシュには生理食塩液を使用します。

②血液の逆流がある場合は、10〜20mLの生理食塩液でフラッシュする(図4)

 フラッシュの際には十分な用量が必要であり、カテーテルと付属物の容積(内容量)の少なくとも2倍量を使用する4とされています。エクステンションチューブの内容量(0.2〜2.5mL)はメーカーや製品の長さにより異なるため、各製品の添付文書などを確認しましょう。

図4 血液逆流時のフラッシュのしかた
血液逆流時のフラッシュのしかたの図

 末梢静脈カテーテルであればカテーテルの内容量がごくわずかのため、血液の逆流がない場合は5mLフラッシュします。血液が点滴セットまで逆流した場合は、10〜20mL必要になります(表14

 なぜなら、輸血の場合はフィブリンが長時間カテーテル壁に沈着する可能性があるため20mLのフラッ
シュが推奨されているからです。そのため、血液の逆流があった場合も、同程度の用量の生理食塩液でフラッシュしたほうがよいと考えられます4

表1 フラッシュの際の生理食塩液の用量
フラッシュの際の生理食塩液の用量の図
(文献4より引用、一部改変)

血栓をつくらないためのロックのしかた

 静脈穿刺を再度行うのが難しい患者さんの苦痛を減らすためなどの場合、刺入部にカテーテルを留置しロックすることがあります。

 このとき、静脈内に留置したカテーテル内に血液が付着していると、血液が凝固し、ルートが閉塞してしまう可能性があります。そこで、生理食塩液を延長チューブから充填して、ロックを行います。

 ロックのしかたを図5に示します。生理食塩液5mLのうち4mLは図4同様フラッシュします。残り1mLになったら陽圧テクニックを用い、注入しながらロックをかけます

図5 陽圧ロックのしかた
陽圧ロックのしかたの図
1.CDCホームページ:血管内留置カテーテル関連血流感染予防ガイドライン.
https://www.cdc.gov/infection-control/hcp/intravascular-catheter-related-infection/index.html(2026.4.20アクセス)
2.JAID/JSC感染症治療ガイド・ガイドライン作成委員会編:JAID/JSC感染症治療ガイド2023.日本感染症学会・日本化学療法学会,東京,2023.
3.Moureau NL,Flynn J:Disinfection of Needleless Connector Hubs:Clinical Evidence Systematic Review.Nurs Res Pract 2015;2015:796762.
4.Goossens GA:Flushing and Locking of Venous Catheters:Available Evidence and Evidence Deficit.Nurs Res Pract 2015;2015:985686.

\続きは誌面で/

EN2026年5月増刊号表紙

エキスパートナース2026年5月臨時増刊号
点滴・輸液・夜勤 自信がつくキホンとコツ

三浦まき 編、中村綾子 編、節原光江 編
東京ベイ・浦安市川医療センター看護部 編
B5・116ページ
定価:1,980円(税込)
照林社

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