胸腔ドレーン挿入中に皮下気腫が起こる原因とは?看護師がとるべき対応についても紹介します。
Q. 胸腔ドレナージ中に皮下気腫が認められた。原因と対応は?
●皮膚損傷による空気の流入、または胸膜損傷による胸腔内からの空気の流入が考えられます。
●ドレナージがうまくいっていない場合に起こることから、吸引圧の設定を検討し、ドレーンが閉塞していないかを確認することが重要です。
皮下気腫の原因とは?
皮下気腫とは、皮下組織内に空気が溜まった状態をいいます。通常であれば空気が侵入する部位ではないですが、胸腔ドレーンを挿入することで、皮膚が損傷を受けて外部から空気が侵入する場合や、胸膜が損傷を受けて胸腔内から空気が侵入する場合などがあります(図1)。
あるいは胸腔ドレーンが挿入されていない場合でも、気管の損傷などが原因で縦隔から侵入する場合もあります。
図1 皮下気腫の起こる原因(胸腔ドレーン留置による)

皮下気腫の観察
皮下気腫が認められると、触診することで握雪感や捻髪音が観察されます。疼痛などの自覚症状が出現することはほとんどありません。
皮下気腫への対応は?
1)ドレナージ不良の解消
胸腔ドレナージ中の皮下気腫は、胸腔内のドレナージが効率よく行われておらず、胸腔内圧が陽圧な場合に起こりやすくなります。
ドレナージの効率は、吸引圧の設定や胸腔ドレーンの閉塞などに影響を受けます。そのため、設定圧や胸腔ドレーン閉塞の有無(屈曲、ねじれ、凝血塊の有無など)を確認し、異常がある場合にはその原因に合わせて対応します。
原因が排除できた場合には、その後、症状の進行はなく皮下組織の空気は自然と吸収され消失します。
2)皮下気腫の経過の確認
皮下気腫の範囲をマーキングし、範囲拡大の有無、あるいは一過性か進行性か、経過を観察します。
進行性で重度な場合には、頸部の循環障害や胸郭の拡張障害などにつながる可能性があるため、すみやかに医師に報告することが重要です。
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