せん妄のメカニズムを知れば、効果的な対応・ケアが見えてきます!今回はせん妄の背景因子のうち、概日リズム障害・メラトニンについて解説します。

せん妄の背景因子:概日リズム障害・メラトニン

 せん妄は夜間悪化する夜間せん妄が典型的で、昼夜逆転など概日リズムとの関連が指摘されています。概日リズムにはメラトニンという神経伝達物質が関連するため、メラトニンと関連して論じられることが多いです(【第4回】表1-⑧)。

 高齢認知症患者にみられる夕暮れ症候群(sun-downing syndrome)は、午後から夕方になると落ち着かなくなったり、興奮や徘徊がみられる状態で、これはメラトニン分泌などによる眠気や暗がりが錯覚を起こしやすくして、不安感・恐怖感が起こりやすくなるためとされます。夜間せん妄と症状・悪化のタイミングなど類似点が多く、概日リズムを整えること(時間療法)がせん妄の予防・治療として試みられています。

 メラトニンはアセチルコリン同様、抗炎症作用をもち、せん妄に治療的に作用するとの考えもあります。

※この記事は『エキスパートナース』2019年10月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。