こんにちは、精神科医・産業医の西井重超です。引き続きメンタルヘルスのことから派生して、産業保健の話をしたいと思います(産業医については第2回参照)。

今、産業保健の分野で仕事をしたい看護師が増えている

 最近、看護師・保健師として産業保健の分野で仕事をしたいという相談を受けます。看護師だけでなく、産業保健分野の人気は医師のなかでも高まってきており、産業医になるための講習会は、今ではすぐに席が埋まってしまうほどになっています。

 保健師でなくても産業保健業務はできます。これも国家試験の復習になりますが、保健師は名称独占であり、業務独占ではありません。皆さんが大嫌いな関係法規の知識は、一体どこで使うんだと思いながら勉強していたとは思いますが、こんな感じで社会に出て仕事をしていくうえで、わりと使うようになってきます(笑)。

 古くから産業保健に携わっている看護師もいるため、企業で働いている看護師のことを「産業看護職」という名前で呼ぶ場合もあります。

 産業保健について勉強したい方について主だった学会を紹介しますと、日本産業衛生学会がそれにあたります。医師と看護師の学会は分かれている場合がありますが、産業保健分野については産業医についても産業看護職についても同じ学会です。

産業看護職の経験を積むには、都心部以外の企業がねらい目

 現在、産業看護職の求人は新人に関しては供給過多になっており、数年の経験をされた方の需要がある状況です。企業が経験者を求めるために、こういう状況になっています。経験を積むにしても、大企業で同じ事業所に複数人の看護職が在籍できるようなところはほとんどなく、かなり狭き門になってきます。

 そこで王道で考えると、まずなんとか産業看護職の経験をつけたいということになってきます。ねらい目なのは東京や大阪などの都心部以外のところ。土地が安くて工場が建てやすい地域の大きめの工場で、求人が出ていたりします。大手企業の産業看護職採用の面接のときに、ほぼ「地方に行けるか」と言われるくらいです。会社員なので転勤はつきものなのですが、病院看護師の感覚で就職しようとすると、けっこうギャップがあり驚かれることの1つです。

産業看護職にとって重要なスキルは、コミュニケーションをとる力

 そこから数年実績を積めば、ある程度どこの企業でも、履歴書はまず見てもらえるかと思います。他には、すごくリアルな話をすると、大企業の産業医をしている先生と知り合って、そこから紹介してもらうなんていうルートもないわけではないと思います。

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