白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など、血液がんの最新の治療・ケアについて解説。今回は血液がん患者の増加や、分子標的治療薬、免疫療法薬といった新規薬剤について紹介します。

高齢化に伴い、血液がんの患者さんは増加

 血液がんは希少なようで、そこまで少ないわけではありません。小児がん(0~14歳)では血液がんが約40%を占め、最も頻度が多いとされる一方で、骨髄異形成症候群などの血液がんは加齢性に増加する特徴があり、わが国の高齢化に伴って血液がんの患者さんはどんどん増加しています(表11

表1 小児・AYA 世代の罹患率が高いがん順位(全がんに占める割合、2009~2011 年)

表1 小児・AYA 世代の罹患率が高いがん順位(全がんに占める割合、2009~2011 年)
(文献1より引用、一部改変)

 悪性リンパ腫における化学療法歴のある患者さんが糖尿病の教育入院に来たり、骨髄異形成症候群で汎(はん)血球減少のある患者さんが胃がんの手術を受けたり、慢性骨髄性白血病でチロシンキナーゼ阻害剤を内服中の患者さんが療養型病床に入院してきたりと、血液がんに出合う場面は血液内科病棟や外来だけではありません。

 すべての看護師が、血液がんの管理やケアについての正しい基本的知識をもっているにこしたことはないのです。

治療薬、支持療法薬の進歩で楽に安全に効果的な抗がん剤治療が可能に

 いわゆる“抗がん剤”とは、もともと殺細胞性の薬剤のことをいい、身体の細胞を敵味方分けずに攻撃する治療薬です。そのため副作用も多く、副作用を軽減する支持療法も未発達であったことから、患者さんには「抗がん剤治療はしんどいもの」というイメージがいまだに広くあります。

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