白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など、血液がんの最新の治療・ケアについて解説。抗がん剤を用いた化学療法中に注意が必要な発熱性好中球減少症の特徴、発熱性好中球減少症が疑われるときの検査や治療などを紹介します。
発熱性好中球減少症の特徴は?
発熱性好中球減少症(FN)は、広義には好中球減少時期の感染症とも言い換えることができます(時期は前述の骨髄抑制期と同じです)。 感染症を引き起こすのは細菌や真菌などの原因微生物ですが、じつは発熱性好中球減少症のうち、原因菌が判明する症例は20~25%に過ぎず、約半数は発熱の原因は不明とされています1。
発熱性好中球減少症のなかで特に血流感染症、肺炎は重篤な病態です。急速に重症化し、命にかかわる状態になることがありますが、発熱後すぐに抗菌薬を投与することで発熱症状が改善し、致死率が下がることが知られています。
発熱性好中球減少症が疑われるとき気をつけることは?
好中球減少時期に発熱をきたした場合、まずは発熱以外のバイタルサインに異常がないかチェックが必要です。呼吸数も含めてチェックしましょう。 発熱以外の症状(咳や痰、消化器症状など)を患者さんに聞くことも重要です。
また、体内に挿入されているカテーテルや点滴ルートの刺入部に発赤・熱感・腫脹・疼痛といった炎症所見がないか確認しましょう。
ただし好中球減少時は、症状などがなかなか現れにくいため、どの臓器の感染なのか判断が難しい場合も多々あります。
この記事は会員限定記事です。