白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など、血液がんの最新の治療・ケアについて解説。血液がん患者さん感染対策を取り上げます。スキンケア、口腔ケア、服薬管理、食事、環境整備に関する注意点をまとめました。
患者さん・看護師が気をつけること①身体の清潔・スキンケア
好中球が減少している患者さんは、皮膚トラブルが感染源となることもあり、皮膚の観察と毎日の保湿ケアが欠かせません。
造血幹細胞移植を受けた患者さんに起こる副作用の1つに、GVHD(移植片対宿主病)があります。症状としては皮疹といわれる発赤疹が手掌、足底、四肢などに出現し、日々の保湿に加えてステロイド剤の軟膏が処方され、塗布します。皮膚の常在菌による感染防止のために、毎日シャワー浴をして洗濯済みの衣類に更衣してもらいます。
安全にシャワー浴を行うために、標準的な感染対策を行い、脆弱な患者さんの皮膚を守るために、固定テープ(ドレッシング材)の種類を考えながら、CVカテーテルの管理や末梢点滴ルートの管理を行います。
発熱を繰り返している患者さんには、身体症状に合わせてシャワー浴の時間をアドバイスすることで苦痛の軽減を図り、筋力低下の患者さんには必要な介助を行うことで安全を確保します。シャワー後には、皮膚に保湿剤を塗布してスキンケアを行います。
肛門粘膜の清潔にも注意を払い、ただれなどがある場合には軟膏を塗布し、症状の緩和や軽減に努めます。
患者さん・看護師が気をつけること②口腔ケア
口腔内には700種類以上の微生物が存在するといわれており、口腔ケアを怠ると菌血症の原因となるため、好中球が減少している患者さんが口腔ケアを行うことは重要です。
移植を受ける患者さんは移植前処置で用いられる化学療法や放射線照射により、口腔粘膜障害を起こしやすい状況にあります。
そのため、歯科と連携をとり、移植前の患者さんや好中球の減少が見込まれる治療を受ける患者さんは、歯科医師・歯科衛生士による治療開始前の口腔チェックを受けます。
治療開始後も、口腔内に異常が生じる前から予防的に患者さん自身の歯ブラシを持参してもらい、歯科受診し、患者さんに合わせた歯みがきの方法を歯科衛生士、歯科医師によって専門的に指導します。
また当院では、院内に口腔ケアチームがあり、週1回チームメンバー(歯科衛生士、看護師、薬剤師)による回診を行っています。そこでは、病棟看護師が行う口腔内のアセスメントと、現在ケアで困っていることがあれば相談し、解決に向けて取り組んでいます。
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