白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など、血液がんの最新の治療・ケアについて解説。今回は、血液がんの化学療法における抗がん剤曝露のリスクと予防策を紹介します。看護師が知っておきたい曝露対策の基礎知識をおさえましょう。
抗がん剤曝露による健康への影響とは?
白血病や悪性リンパ腫などの血液がんの治療では、主に抗がん剤を中心とした治療が行われます。
抗がん剤は、がん細胞の分裂を抑えて破壊させ、抗腫瘍効果を期待しますが、一方で正常細胞にも影響をもち、発がん性、催奇形性、生殖毒性、遺伝毒性などの健康被害が報告されています。
血液内科領域では、抗がん剤の大量投与が行われることも多く、用法も皮下注射や髄腔内投与など多岐にわたります。 そのため、多岐にわたる用法で曝露(ばくろ)する機会が多いといえます。抗がん剤を取り扱う看護師はその影響を認識し、抗がん剤への曝露対策の基礎知識を理解して取り扱うことが重要です。
抗がん剤曝露の経路は?
ある物質に接触したり、吸入したりすることを曝露といいます。抗がん剤は主に図1のような3つの経路で体内に取り込まれます。
図1 抗がん剤曝露の3つの経路

抗がん剤曝露の場面にはどんなものがある?
最も曝露の危険性が高い場面は、抗がん剤の調製と投与管理時ですが、それ以外にも目に見えない危険が潜んでいます(図2)。 抗がん剤の調製過程で、輸液ボトルの表面に抗がん剤が付着することが考えられるので、調製済みのボトルの運搬・監査・投与準備などの場面においても曝露の危険性があります。
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