『高血圧管理・治療ガイドライン2025』における、降圧管理目標を確認。過度の降圧による危険性についても説明します。

高血圧患者の人数
厚生労働省による平成29年の患者調査1の結果では、高血圧性疾患をもつ患者さんは993万7,000人で、主な傷病の中で最も多い患者数です。
また、国が循環器疾患基礎調査対象者に長期追跡研究を行う「NIPPON DATA(National Integrated Project for Prospective Observation of Non-communicable Disease And its Trends in the Aged)80」では、 高血圧をもつ人の平均余命は、正常血圧の人より短いことが報告されています2。
『高血圧管理・治療ガイドライン2025』における降圧目標
日本高血圧学会の『高血圧管理・治療ガイドライン2025』3では、正常高値血圧は「収縮期120~129mmHg」かつ「拡張期血圧80mmHg未満」とされています。
高血圧患者の降圧目標は表13に示す通りです。
表1 降圧目標
診察室血圧:<130/80mmHg
家庭血圧:<125/75mmHg
*高値血圧(診察室血圧130~139/80~89mmHg)で脳心血管病の発症が低・中等リスクの場合(脳心血管病の既往や糖尿病を伴わないような場合)は生活習慣の改善を強化する。
*めまい・ふらつき・立ちくらみ・倦怠感・失神などの症候性低血圧、起立性低血圧、急性腎障害、高カリウム血症などの電解質異常といった有害事象の発症に注意しながら降圧を進める。(文献3より引用)
『高血圧治療ガイドライン2019』では、75歳以上の高齢者は140/90mmHg未満を降圧目標とし、忍容性があれば130/80mmHg未満が目標とされていましたが、『高血圧管理・治療ガイドライン2025』では、降圧目標が「診察室血圧130/80 mmHg未満(家庭血圧125/75 mmHg未満)」に統一されました。
過度の降圧ではかえって死亡率が増加する傾向に
一方、降圧目標の下限については、過度の降圧により脳卒中、心筋梗塞、腎機能低下など、死亡率が増加する傾向が示されている病態があることが明らかになっています4,5。
例えば韓国で定期健診を受けた約123万人を対象に、収縮期血圧の値と虚血性心疾患や脳卒中などのアテローム性の血管病変による死亡との関係を検討した研究6では、収縮期血圧が100mmHgを超えると死亡は増加しました。ところが「収縮期血圧90~99mmHg」のグループと「収縮期血圧90mmHg未満」のグループを比べると、90mmHg未満群のほうが死亡のリスクが有意に高いという結果になり、“Jカーブ”という現象として報告されています。
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