意外と“深部体温”が測定できていない!測定時の注意点【バイタルサインの常識:第1回】

終末期のバイタルサイン変化に関するさまざまな研究

 人が亡くなる2週間前からのバイタルサインの詳細な経過は、がん患者で1本の研究があります1。それによると最期の3日間で特に「血圧は収縮期・拡張期ともに低下」「酸素飽和度は90%以下」「体温はわずかに上昇」し、「呼吸数は変化がなかった」ことが報告されています。これは特異度80%以上で、感度は低く35%以下でした。

 一方、亡くなる最期の日でも、多くの人がバイタルサインは正常であったことも報告されています。

 実際に皆さんはどのように予測し、ご家族を呼んでいますか? 看護師や救急隊の中では飽和度(saturation)の頭文字をとって“サット(sat)”と呼ぶのがはやっているようですが、その“サット”が80%を切ったらご家族を呼ぶ、あるいは血圧が低下してきたらなど、経験的に判断している人も多いでしょう。

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