本が大好きな看護師のおともさんが、“あなた”に寄り添った本を紹介するブックセラピー企画。看護師さんのさまざまなお悩みに合わせて、相談者にぴったりな書籍を教えてくれます。
【第1回】「あなたの心を守る」視点で選ぶ、若手看護師さんへの本
【第2回】「このまま看護師を続けていけるのかな」そんな迷いに寄り添う本
【第3回】「これから看護師として働くのが不安」そんな新人ナースの一歩を支える本
【第4回】「文字ばかりの本は苦手」そんな中堅ナースのためのビジュアルで学ぶ看護書
看護師のおともかんごしのおとも
救急外来部門・シミュレーションセンターで主任を務める看護師。実家も今の家も、本だけで丸々1部屋を使ってしまっているほどの本好き。@99emergencycall
ブランクありの看護師Tさん
病院で5年勤務後、クリニックを経て、結婚・出産を機に看護師の仕事を数年離れました。その後、施設看護師としてパートタイムから再スタートを切り、最近常勤に。医療介護度の高い施設で、ときには急変対応も求められる現場です。「夜勤帯は看護師が自分ひとり…」「病院勤務向けの本は情報量が多すぎる…」、そんな施設看護師ならではの不安もありながら、フィジカルアセスメントについての知識をアップデートできる本はありますか。
写真と動画で学べる! 急変対応の決定版
白石 ブランクがある施設看護師さんが、特に急変対応やフィジカルアセスメントについて学び直しできる本を探しているそうです。
看護師のおとも
急変対応について、まず絶対におすすめしたいのがこれ!『BLS:写真と動画でわかる一次救命処置』です。急変対応の本は、AHA(アメリカ心臓協会)のBLSのプロバイダーマニュアルのようなオフィシャルなもの、イラスト化や図解されたものとか数多く出版されていますが、この本に勝るものはないと断言できます。
改訂第4版BLS:写真と動画でわかる一次救命処置
小林正直、石見拓、鶴和幹浩 監修
Gakken
AB判
3,520円(税込)
白石 そこまでおともさんがおすすめする理由はなんでしょう。
看護師のおとも
まず、監修の先生方が日本の蘇生ガイドラインを作成している方々なんです。根拠が明確で、救急現場に不慣れな人でも写真や動画を見ながら学習できる。特に施設では除細動器はないだろうし、重要なAEDについては、日本で流通している機種ごとの違いや操作方法など丁寧に解説されています。
例えば、「うちの施設のAEDはこのメーカーのもの」とわかれば、電源の入れ方から実際の操作手順まで、事前に確認できるんです。また、施設でよく起こる窒息の解除方法も、体格や体位による違いまで詳しく説明されています。
白石 なるほど~。現場のスタッフ教育にも使えそうですね。
看護師のおとも
そうなんですよ。自分自身の知識のアップデートはもちろんのこと、介護職員への勉強会でも活用しやすいと思います。特に夜勤帯は看護師が少ない施設が多いですから、介護職員と連携した急変対応が必要になります。その際の役割分担や、連絡体制の確認にも使える内容ですね。
白石 今どきはYouTubeの急変対応の動画で勉強しちゃうという声も聞きますけど、こうしたテキストでもしっかり学びたいですね。
そうですね。YouTubeには個人が独学でアップしている動画も多いので、ときには古いガイドラインの内容のままだったり、参考元の理解が間違っていたりすることもあります。図解などを独自で作っているものも多く見かけますが、その根拠が違っていたり、重要な手順が抜け落ちていたりする場合もあるんです。特に急変対応は、変にアレンジせず、ガイドラインに則った正確な知識を身につけることが重要だと感じます。
フィジカルアセスメントの知識を効率的にアップデート
看護師のおとも
フィジカルアセスメントについては、山内豊明先生の『フィジカルアセスメント ガイドブック』と『緊急度を見抜く!バイタルサインからの臨床推論』の2冊をおすすめします。
フィジカルアセスメント ガイドブック 第2版 目と手と耳でここまでわかる
山内豊明 著
医学書院
B5判
2,640円(税込)
緊急度を見抜く!バイタルサインからの臨床推論
山内豊明 著
医学書院
B5判
2,530円(税込)
白石 この2冊の特徴はどんなところですか。
看護師のおとも
『フィジカルアセスメント ガイドブック』は、症状や徴候からのアセスメントの考え方や、呼吸系・循環系・消化系・感覚系など身体機能別のアセスメントの進め方がまとまっています。
一方の『バイタルサインからの臨床推論』は、日常的に測定するバイタルサインを入り口に、患者さんの状態を知る、数値の意味を考えて、次にすべきこと、しなくていいことがわかる。この一連の思考過程が、フィジカルアセスメントの目的とつながると思います。
白石 なるほど。ブランクがある方でも内容は難しくないでしょうか。
看護師のおとも
施設勤務であれば、バイタルサインは日常的に確認していますよね。また、アセスメントの記憶も完全には消えていないはずです。この2冊は、身についている知識を整理しながら、「ここまでわかる」というポイントを明確にしてくれます。例えば、「この症状があったら、こういう可能性を考えて、この部分を重点的に観察する」といった実践的な判断基準が示されています。
今回紹介した3冊とも、かなりしっかりとした内容の本なので、これらがあれば現場で十分戦えます。特に施設では、医師が常駐していないことも多く、限られた医療資源の中で適切な判断が求められます。その判断の基準となる知識を、この本たちが提供してくれるはずです。
今回、看護師のおともさんが紹介してくれた本
『フィジカルアセスメント ガイドブック 第2版 目と手と耳でここまでわかる』
日々、患者さんに寄り添うあなたにも、やさしく寄り添うものがあってほしい。今回紹介した本たちが、そんなあなたの心の“おとも”になれることを願っています。
看護師のおともさんに、「悩みに合う本を教えてほしい」という方を募集中。
下記URLよりご応募ください。
※掲載の有無はエキスパートナース編集部で判断し、掲載有無の結果は事前にご連絡はいたしません。
https://questant.jp/q/book_therapy_otomo
【第6回】看護ってなんだろう?臨床10年目の探究心に応える本(2月1日配信予定)
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