知っているようで意外と知らないバイタルサイン数値の“測定手技”や“判断の根拠”。今回は、乳がん術後やシャント肢、麻痺の場合はどちらの腕で血圧を測定すればよいのかを解説します。

バイタルサインの常識12イラスト

内シャント側で測定すると閉塞する危険がある

 血液透析が必要な患者さんの前腕には、動脈と静脈をつなぎあわせた内シャントがつくられます。この内シャントが“閉塞する”“感染を起こす”と、患者さんにとって大きな負担になります。

 患者さんは閉塞を予防するために、内シャントがある側について、以下のことを避けるように説明を受けます。

●腕時計でしめつける
●カバンなど重いものを持つ
●圧迫されるような衣類を着る
●手枕をする

 そして、内シャントがある上肢で血圧を測定すると閉塞する危険があるため、必ず反対側の上肢で測定します。

乳がん術後(リンパ郭清)の患側での測定はリンパ浮腫の危険性あり

 乳がんでリンパ郭清を受けた患側で血圧を測定すると、加圧によるうっ滞などの循環障害によりリンパ浮腫が起こる危険性があります。

 リンパ浮腫はいったん発症すると完治することは困難で、かつ患者さんのQOL低下につながります。患者会の調査では術後1年以内で約半数の人がリンパ浮腫を自覚していましたが、10年以上経過してから気づいた人が13%もいました1

 術後は一生リンパ浮腫が起こる危険性があり、さらに自覚していなくてもリンパ浮腫は発生していることが明らかになっています2。患側での血圧測定は避けるべきです。

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