未破裂脳動脈瘤により血管内手術を受けた患者さんの心理についての研究結果をもとに、看護師が実践したいケアを紹介します。心情や体験を理解したうえで、患者さんのもつ“不確かさ”を減らしていく支援とは?

前回の記事:脳動脈瘤で“無症状のまま手術”をした患者の不安と対処行動

●未破裂脳動脈瘤の手術をした患者さんを支えるには?
●未破裂脳動脈瘤により血管内手術を選択した患者を支える看護指針
1)アウトカム:“不確かさ”の減少・管理をめざす
2)看護方針:疾患の正しい理解から、自身に合った予防行動を経て、 振り返りにつなげる
3)予防的治療では、 患者さんが自己の判断に満足できるようにすることも治療の成果

「看護研究からわかる患者さんのこころの中」の記事一覧

ケアのポイント

●予防的治療は今後発症しないための治療であるという特殊性から、患者さんの心情や体験を十分に理解した看護支援を行う
●患者さんがもつ“不確かさ”を減らしていくようにかかわる
●疾患の正しい理解を促し、自身に合った予防行動を経て、振り返りができるようにする

未破裂脳動脈瘤の手術をした患者さんを支えるには?

 研究結果から、未破裂脳動脈瘤患者さんは継続的に“不確かさ”を抱えていることが明らかになりました。そのような患者さんを支えるために、「未破裂脳動脈瘤により血管内手術を選択した患者を支える看護指針」1(下記参照)を作成しました。

未破裂脳動脈瘤により血管内手術を選択した患者を支える看護指針

◆診断
1)期待するアウトカム
“不確かさ”の軽減

2)各経過ごとの看護方針
未破裂脳動脈瘤とその治療に関する正しい理解と混乱の予防
【教育的支援】
●患者の熟知度の把握と情報処理能力の査定
●混乱の程度の見きわめ
●情報提供と情報の整理
【支援体制の整備】
●脳ドックにおけるインフォームドコンセントの整備と医療機関の連携
●患者や家族が相談できるシステムの構築とアクセス方法の整備

◆治療選択~手術
1)期待するアウトカム
“不確かさ”の軽減

2)各経過ごとの看護方針
患者の特性に基づいた破裂予防行動の促進と生活制限予防
【“不確かさ”の受け止めのパターンごとの強化ポイント】
●脅威*1と捉えた場合:認知的再評価の促し
●好機*1と捉えた場合:緩衝方略の支持、誤解の是正
【教育的支援】
●用いている対処の内容の吟味と効果の検討
●後天的危険因子への対処方法の指導(グラフや手帳などのツールの活用)
●あいまいな身体症状のアセスメントと緩和方法の指導
【支援体制の整備】
●緊急時の判断や自己解決困難時の相談外来やtelenursing(テレナーシング)*2の検討

*1【「脅威」と「好機」】=Mishelの病気の不確かさ尺度2における成り行きの予想。“不確かさ”が「脅威」と評価された場合は、“不確かさ”を減らすため用心や情報収集、ネガティブな感情の調整が行われる。「好機」と評価された場合は、不確かさを持続させようとする。
*2【telenursing】=テレビ電話などの遠隔コミュニケーション技術を用いた看護ケア。

自律的意思決定に導く
【不確かさ”の受け止めのパターンごとの強化ポイント】
●脅威と捉えた場合:揺れ動く心情の理解による情緒的支援
●好機と捉えた場合:患者が期待するアウトカムの把握、誤解の是正、心的準備
【教育的支援】
●情報提供後の理解度の把握
●情報のニードの把握と整理
※手術前と比較して、“不確かさ”は軽減していく

◆退院前~手術後1か月
1)期待するアウトカム
“不確かさ”の軽減

2)各経過ごとの看護方針
患者の特性に基づいた破裂、再開通予防行動の促進
【不確かさ”の受け止めのパターンごとの強化ポイント】
●脅威と捉えた場合:認知的再評価の促し
●好機と捉えた場合:予想と現実との乖離、誤解の是正
【教育的支援】
●用いている対処の内容の吟味と効果の検討
●後天的危険因子への対処方法の指導(グラフや手帳などのツールの活用)
●あいまいな身体症状のアセスメントと緩和方法の指導
【支援体制の整備】
●緊急時の判断や自己解決困難時の相談外来やtelenursingの検討

◆手術後3~6か月
1)期待するアウトカム
“不確かさ”の軽減/“不確かさ”の管理

2)各経過ごとの看護方針
確率論的思考獲得の支持
【情緒的支援】
●体験の振り返りと共感、支持
●手術前に期待したアウトカムの確認と修正
●現状認知と将来の成り行きの捉え方の把握
●他者の状況などの社会的比較情報、検査の現状など次の意思決定のための情報提供
【支援体制の整備】
●“不確かさ”、未破裂脳動脈瘤/治療に関する専門的知識獲得のための看護師の教育と育成
●検査スケジュールへの患者参与のための医療者間の連携の強化
※患者さんは、この先自分はどうするのかと考える

長期看護方針
●“不確かさ”の軽減とともに、“不確かさ”と折り合いをつけるための支援

(文献1より引用、一部改変)

1)アウトカム:“不確かさ”の減少・管理をめざす

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