口腔内のトラブルの重篤化を防ぐには?出血傾向、乾燥、重度の汚染、重度の舌苔、カンジダ症、歯の動揺の6つのポイントについて解説します。

この記事は『エキスパートナース』2014年9月号特集を再構成したものです。
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 口腔内のトラブルの重篤化を防ぐには、出血傾向、乾燥、重度の汚染、重度の舌苔、カンジダ症、歯の動揺、この「6つのトラブル」を早く見抜くことが重要です。

1.出血傾向

 出血は、口腔内の何らかの異常を示すものなので、必ず原因を究明する必要があります。
 出血傾向は歯肉炎血管障害血小板血液凝固因子等の障害により起こり、それぞれで対応方法は変わります。

①歯肉炎が原因の場合

 出血の原因が歯肉炎の場合は、刺激時(ブラッシング時)に出血することが多くあります。歯肉炎が原因の出血では、歯肉付近の歯垢を除去しない限り改善しないので、積極的なブラッシングが必要となります。

②血液系疾患が原因の場合

 血液系の疾患により出血をしている場合は、血液データの確認を行いながらケアを進めていく必要があります。
 血小板数が20,000/μL以下の際に止血困難になる場合が多いとされていますが、急激に血球数が低下するような疾患を除いて、血小板数が10,000/μL程度であっても、歯周組織炎や外傷などがない限り適切にケアを実施していれば自然出血をきたすことは少ないとの報告もあります。

 いずれにしても、出血傾向の強い患者においては、よりきめ細かくていねいな予防的口腔ケアが必要です。

2.乾燥

 口腔内乾燥が顕著な患者では、痰や剥離上皮などが口蓋や舌に貼りついていることがあります。したがって、乾燥のある患者では、口腔ケア前に痰や剥離上皮が口腔内にこびりついていないかを確認する必要があります。

 ケアの際には、無理に剥がすようなことをすると出血してしまい、さらに状況を悪化させることがあるので、剥がす際には十分に軟化させてから行います。
 口腔乾燥の評価としては、柿木による分類が用いられることが多くあります2

口腔乾燥症の臨床診断基準
0度(正常):乾燥なし(1~3度の所見がなく、正常範囲と思われる)
1度(軽度):唾液の粘性が亢進している
2度(中等度):唾液中に細かい唾液の泡が見られる
3度(重度):舌の上にほとんど唾液が見られず、乾燥している
(文献2より引用)

3.重度の汚染

 口腔内の汚染がひどい場合は、口腔内だけに留まらず、咽頭(喉)まで痰や分泌物で汚染されていることが多くあります(図1-①)。したがって、口腔内が汚染している場合には、「咽頭も汚れているのではないか?」と常に考えておく必要があります。

 しかし中咽頭や下咽頭の汚染は通常見ることができないので、舌根の汚染状況から汚染度を予測する、または舌圧子で舌を下方に押さえて咽頭後壁や側壁を観察することで、汚染状況を予測することも大切です。
 咽頭部の汚染物は、そのままにしておくと誤嚥のリスクが高まるので、吸引器で回収することも必要です。

図1 口腔から続く咽喉頭の汚染(嚥下内視鏡検査での咽頭の観察)

①痰や分泌物が付着し汚染している状況
*このような状況では、誤嚥性肺炎のリスクが非常に高くなることに注意

痰や分泌物が付着し汚染している状況
●全体的に痰や分泌物が付着しているのがわかる
●付着物は乾燥し、喉頭蓋や喉頭の入口付近まで汚染している

②汚染していない状況

汚染していない状況
●痰や分泌物の付着はなく汚染はない
●全体的に潤っており非常によい状態

4.重度の舌苔

 舌苔とは、舌の糸状乳頭が伸張し、そこに剥離した上皮細胞が付着しているものです。あるいは、細菌や真菌、食物残渣などが堆積する形で舌の表面に形成されたものです。

 舌苔は、唾液の分泌量や状態、全身疾患、薬の影響、体調などの影響を受けます。また、舌機能の影響を受けやすいので、舌の麻痺があるような患者では麻痺側に多く付着する傾向があります。

 舌の色調より「白苔舌」「黒毛舌」「無苔」などがあります。舌の色調に変化が生じた場合(舌苔の付着)は、全身状態に変化が生じていることも疑うことが必要です。
 舌苔は、少量であれば基本的に除去する必要はありませんが、重度の場合は舌ブラシ等を使用して除去します。

 めやすとしては、湿ったガーゼ等で軽く清拭し、ガーゼに色がついてくるようなら、除去可能と判断します。このとき、無理に除去するようなことをすると、正常な舌粘膜を損傷することになるので、常に愛護的な清掃を心がけます。

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