情報インフラや電子カルテ機能などの見直しを求める

 日本医学会連合は2月5日、『健康・医療分野におけるビッグデータに関する提言』を公表しました¹。これは「日本の健康・医療分野におけるデータ活用環境を健全なものとし、すでに日本が突入した人口減少に向かう超少子高齢社会時代に質の高い医療を効率良く提供し、また健康・医療DX 時代における国際競争に日本が勝ち抜く基盤を構築すること」を目的として取りまとめたものです。

 提言によると、2020年度の電子カルテの導入率は医療現場全体で50%程度である一方で、2022年度のレセプト電算*化率は医科・歯科・調剤すべてで90%を超えており、導入が進んでいる現状があるとしています¹。

 このような「まだらデジタル化」の他にも、スマートフォンの普及に伴うIoT機器の活用増加や、海外でのビッグデータ活用事例なども挙げ、日本をとりまくビッグデータの現状を統括したうえで、ビッグデータの生成や活用の「あるべき姿」に重点を置いた4つの提言を示しています。

健康・医療分野におけるビッグデータに関する提言

1. 平時にも有事にも機能する個人を中心とした健康・医療情報インフラの早期実現
 【提言先:内閣府】
2.電子カルテ機能の抜本的見直しと標準化
 【提言先:厚生労働省、経済産業省】
3. 個人情報に関する健康・医療分野個別法「健康・医療情報利活用法」の制定
 【提言先:個人情報保護委員会、法務省、文部科学省、厚生労働省】
4.データ利活用促進のための人材育成
 【提言先:文部科学省、厚生労働省】

(文献1を参考に作成)

*【レセプト電算】保険医療機関や保険薬局が、電子レセプト(医療機関が保険者に提出する月ごとの診療報酬明細書)をオンライン・電子媒体で審査支払機関に提出し、同機関から保険者に明細書を送れるシステム。

1.日本医学会連合:健康・医療分野におけるビッグデータに関する提言.
https://www.jmsf.or.jp/uploads/media/2024/02/20240206154728.pdf(2024.3.20アクセス)