合計特殊出生率の世界的な低下が続くと予測

 ワシントン大学などの国際チームは3月20日、論文を公開し、1人の女性が15~49歳の年齢別出生率で一生の間に産むと仮定したときの子どもの数である「合計特殊出生率」が世界的に低下を続けるとの予測を発表しました¹。

 世界の年間出生数は、2016年の1億4,200万人をピークに、2021年には1億2,900万人まで減少しています。また合計特殊出生率は、1950年以降すべての国と地域で低下傾向にあります。

 予測によると、合計特殊出生率2.1程度とされる人口置換水準(人口が増加も減少もしない均衡した状態となる合計特殊出生率のこと)を上回る国や地域は、2050年には49か国、2100年には6か国のみとなります。6か国のうち3か国は、世界銀行により2021年に低所得国と定められた国です。合計特殊出生率の変化は、高所得国における高齢化と労働力の減少に加え、すでに貧しい地域での出産割合の増加を意味し、経済的・社会的に広範囲に影響を及ぼすと考えられています。

 同チームは、教育と避妊の必要性に関するSDGs目標を達成し、出産促進政策を実施することで若干の合計特殊出生率の改善が見込まれるとしています。

1.GBD 2021 Fertility and Forecasting Collaborators:Global fertility in 204 countries and territories, 1950–2021, with forecasts to 2100: a comprehensive demographic analysis for
the Global Burden of Disease Study 2021.
https://www.thelancet.com/action/showPdf?pii=S0140-6736%2824%2900550-6(2024.4.20アクセス)