看護師が知っておきたい、アピアランスケアの知識を解説。今回は抗がん剤治療による脱毛の時期や、脱毛に関係する抗がん剤について、がん薬物療法看護認定看護師が紹介します。

Q. 脱毛の時期は?また生え始めるのはいつ?

ひとこと回答
抗がん剤投与開始1~3週間後に脱毛が始まり、抗がん剤による治療終了から3~6か月後にまた生え始めます。

抗がん剤と脱毛の関係

 殺細胞性の抗がん剤は、薬剤の種類により細胞周期(G0期、G1期、S期、G2期、M期)における特定の箇所で作用します。抗がん剤は、腫瘍細胞に作用することを目的としますが、正常細胞にも作用します。それが副作用として現れるわけです。特に、細胞増殖・分裂の盛んな細胞が影響を受けやすく、骨髄や消化管粘膜、そして脱毛が生じる原因となる毛母細胞も影響を受けやすい細胞の1つです。

脱毛の進行:始まりは抗がん剤投与開始の1~3週間後

 毛髪は、成長期、退行期、休止期、脱毛期という成長の周期があります。通常の頭皮は90%が成長期毛であり、多くの毛髪が抗がん剤による影響を受け、抗がん剤投与開始1~3週間後に脱毛が生じます1,2
 脱毛は、ひげやまつ毛、眉毛、腋毛、陰毛にも生じます。抗がん剤治療をしたその日に脱毛が生じるわけではありませんので、治療開始まで、そして治療が開始されてからも脱毛に対する準備を行う時間的猶予はあります。あわてずに準備する時間があることを伝えましょう。

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