ボディイメージの変容をきたした頭頸部がん患者さんについての研究結果をもとに、実践したいケアを紹介します。
頭頸部がん患者さんの価値観を尊重し、QOL を維持する
●頭頸部がん患者さんが思いを語れる時間をつくる
●医療者の考えを押しつけず、共感する態度で接する
●リハビリテーションだけでなく、美容面のケアについても多職種と連携する
形成外科的手術の結果がよくない場合、特にケアが重要になる
患者さんは、「傷を見られたくない」「人前では顔を隠す」「人の視線を意識する」などの外見に対する思いだけではなく、「自分の意思で表情をつくることができない」と感じていました。
口腔領域の局所進行がんの患者さんが形成外科的手術を行う根底には、命の危機を脱した患者さんが自分自身の望むボディイメージを獲得するという希望があると思います。しかし、よい結果ばかりではないのが現状です。
以下に、ボディイメージの変容をきたした患者さんに対するケアを示します。
1)患者さんの思いを知り、 理解する
●患者さんが自分の思いをゆっくり語れる時間をつくる
●患者さんの言葉に耳を傾ける
●抱いている思いを知り、その人を理解する
患者さんは、咀嚼、摂食嚥下、発音や表情をつくるという機能障害が残ることもあり、自分の意思では機能をコントロールできず、自己表現手段も閉ざされていると感じていました。また、「生きがいを見出せない」など、自分の存在価値まで低下していると思われました。
私たち医療者は、多忙な業務のなかでも患者さんが抱いている自分の病気に対する思いやその変化を知ることが必要です。患者さんは、入院中に語ることができなかったさまざまな思いを表出することで、「自分自身が救われた」と話していました。
急性期病院では在院日数が短くなり、患者さんとのかかわりも短くなっています。看護師は、多忙な業務に追われて患者さんが抱えている心理社会的な問題に対して支援を十分にできていないというジレンマがあると思います。患者さんが自分の思いをゆっくり語れる時間をつくり、患者さんの言葉に耳を傾けることで抱いている思いを知り、その人を理解することがまず必要であると思います。
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