看護師が知っておきたい、アピアランスケアの知識を解説します。今回は抗がん剤治療による爪の変形や変色、爪囲炎への対応について。ネイルでの爪の保護・補強、クリームでの保湿、テーピングの方法を紹介します。
Q. 爪の変形や変色、爪囲炎は、どう対応したらよい?
ひとこと回答
保湿・清潔・保護を意識しながら、マニキュアなどでカバーしましょう。
爪は抗がん剤の影響で、変色したり、薄くもろくなったり、乾燥すると亀裂が入ったり、割れてしまったりします。
ネイルカラーなどを使った爪の保護・補強
薄くもろくなった爪に対しては、爪への負担を減らすために、爪切りよりも爪用のファイル(やすり)で長さを整えます。入浴後の爪がやわらかいときにカットするとより負担が軽減されます。
また、ネイルカラーや透明のマニキュアを塗布して、爪を保護・補強して守ります。このとき、ネイルカラーを3~4回塗り重ね、その後透明のマニキュアやトップコートを1日1回塗り重ねると層が厚くなり補強できます。ただし、1週間に1回は除去し、また塗り直すようにします。
人によっては、爪が浮いたり、徐々にはがれてくること、二枚爪になったりすることもあります。その場合は、通気性のよい絆創膏や爪専用のテーブを使用し保護しましょう。
ジェルネイルは、装脱着時に爪を削ることが多いため、がん患者さんの薄くなりやすい爪には負担となります。さらに、ジェルネイルは数週間装着したままであり、その間爪の状態を観察できません。そのため、気づかないうちに爪の下に炎症が起きたり、膿がたまったりする可能性があります。これらのことから、化学療法中の爪のケアに対してジェルネイルの使用はお勧めできません。
爪が変色している場合
爪の変色は、市販のネイルカラーで自分好みの色を2~3回重ねて塗ることでカパーすることができます。爪が黒褐色に変化した場合は、レンガ色のような赤褐色を用いるとカモフラージュしやすいと言われています。ネイルカラーを除去した後は、すぐに手を洗い、クリームやオイルなどを塗り、保湿をしてください。
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