日々進化する治療・ケアにかかわる用品がもたらした変化、活用する際の注意点などを紹介!今回は気管挿管のために使う呼気終末二酸化炭素ガス分圧測定器(カプノメータ)と、色彩識別二酸化炭素検知器を取り上げます。

確実な気管挿管のためにさまざまな物品が登場

 気管挿管という手技は、経験の多い麻酔科や救急科の医師だけでなく、挿管研修を終えた救急救命士が心肺停止患者に対してプレホスピタルで行うこともあります。また、患者の状態や環境によって気管挿管の難易度は変化する可能性があります。

 生命を維持するために気道確保は重要な要素となり、緊急性の高い事例では生命予後に大きくかかわります。したがって、“安全かつ確実な気管挿管”が実施されることが最も重要ですが、食道挿管は実際には最も起こり得る、かつ避けなければならない有害事象です。

 緊急挿管時の確認は、「挿管チューブのくもり」「胸部挙上による視診」「バッグ換気による触診」「5点聴取法による聴診」といった五感を用いた確認が最も重要と考えます。もちろんその後に「胸部レントゲンでの位置確認」を行いますが、レントゲン写真でも100%確実に挿管を検知できるわけではありません。

 そこで、気管挿管確認のための物品を使用します。挿管確認物品は簡易的なものから高機能な商品までさまざまです。

色彩識別二酸化炭素検知器

図1 色彩識別二酸化炭素検知器の例

イージーキャップ™、ペディキャップ™

左からイージーキャップ™、ペディキャップ™(画像提供:コヴィディエンジャパン株式会社)
●イージーキャップ™は体重15kg以上の患者に使用可能、ペディキャップ™は体重1~15kgの患者に使用可能。いずれも開封後2時間まで使用可

カラーチャート

 呼気時に排出する二酸化炭素の濃度の範囲を、色の比較により検出する装置です。原理としては、pHに反応するインジケータペーパーが、二酸化炭素濃度に応じて色調を変えることにより測定できます。

 気管挿管後に気管チューブとバッグバルブマスクの間にイージーキャップ™を装着し、換気を行い、呼気時に紫色から黄色に変色するのを確認することで、気管チューブが気道にあることが確認できます。
 
 ただし、使用時の注意点として、6回の換気後、呼気を完全に吐ききった時点で判断します。これは、気管チューブを誤って食道内部に挿管した場合でも、挿管前の空気による胃の膨張によって4.5%程度の二酸化炭素がイージーキャップ™に取り込まれる場合があるためです。
 また、6回の換気により胃の膨満を助長し、嘔吐や誤嚥の原因となる危険性があるため、嘔吐時の対応に必要な物品やケアの準備も大切です。プレホスピタルや災害現場などで使用する場合、暗所では視認性が低下することを念頭に置く必要があります。
 
 色彩識別二酸化炭素検知器は、プレホスピタルで活動する救急隊における挿管後の二次確認物品として、多くの救急隊活動プロトコルに記載されています。また、搬送中の呼吸状態のモニタリングとしても使用されます。

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