日々進化する治療・ケアにかかわる用品がもたらした変化、活用する際の注意点などを紹介!今回は疼痛緩和のための製剤を取り上げます。フェンタニルの貼付剤、舌下錠、バッカル錠、それぞれの特徴とは?
登場の背景
鎮痛薬の開発については、日進月歩で、さまざまな形で発展してきました。
特にがん領域において、オピオイドと呼ばれる医療用麻薬は、がん患者の体験する強烈な痛みの緩和に必要不可欠な薬剤です。
オピオイド製剤の代表的なものにモルヒネがあり、モルヒネと類似した作用機序と鎮痛効果をもつものに、フェンタニルという医療用麻薬があります。フェンタニルの鎮痛作用はモルヒネの約50~100倍といわれています。
フェンタニルには注射液もありますが、フェンタニルの“貼付剤”の登場は、皮膚に貼るという簡便な投与経路により、在宅医療の推進が叫ばれる昨今の医療において、非常に患者に活用されるようになってきました。
日本では2002年に、3日毎に張り替えるタイプのデュロテップ®パッチ(現在はデュロテップ® MTパッチ、図1)が導入1されました。しかし入浴を好む日本人には“1日1回貼り替えるタイプの薬”が望まれ、また「3日で貼り替え」という概念が管理するうえで間違えやすいという背景から、2010年、1日1回貼り替えるタイプのワンデュロ®パッチ(図2)、フェントス®テープ(図3)が登場してきました。
図1 疼痛緩和のための新規製剤の例/3日に1回の貼り替え
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