【第31回】小児がんの患者さん[前編]研究から明らかになったこと
患者さんが主体性をもって治療を乗り越えていけるよう、環境を調整する
●子どもが自分の気持ちを表出できるようにかかわる
●子どもが必要とする情報を繰り返し説明する
●クラスメイトとの橋渡しや、病気のことをどのように説明していくべきか、周囲と話し合う
子どもたちが、自分の病気と向き合い前向きに闘病に取り組むため、さらには自分の人生の一部として認識するために必要なことは、自分自身に何が起こっていたのかを知ること、居場所をつくることです。
以下に、入院時から退院後を見据えたケアのポイントを解説します。
小児がん患者の適応に向けたケア
1)入院環境における居場所づくり
●子どもどうしの相互作用が生まれるような遊びや病棟イベントを工夫する
●子どもの気持ちを受け止めながら、子どもが自分の気持ちを表出できるようにかかわる
2)病名等の告知におけるサポート
●子どもが知りたいことは何かアセスメントし、繰り返し説明する
●治療スケジュールを含めた病気の理解を支える
●小きざみな目標設定(外泊や病棟イベント、兄弟や友だちの面会等)を促す
●子どもへの告知に向け、医療者側にはサポートの準備ができていることを示す
3)退院後の生活への適応の促進
●クラスメイトへの適切な病気の説明
●クラスメイトとのつながりを強める(手紙等)
1)入院環境における居場所づくり
患者さんは入院時の混乱を、医師の「必ず治る」という言葉を信じること、居場所を獲得することで乗り越えていました。居場所は、「ありのままでいられる」「役に立っている」と思えるような人間関係を構築できることで獲得され、環境への適応を促します1。
患者さんたちは、同じつらさや楽しさを共有し、お互いの理解を深めるなかで、同じ病気と向き合う仲間を「ありのままでいられる」対象として認識し、互いに励まし合い、情報を提供し合うことで、お互いが「役に立っている」という感覚を得ていました。
また、医療スタッフとの信頼関係を構築することで、つらい気持ちを表出でき、その感情を受け止めてもらえることで「居場所がある」という感覚を強めていました。
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