日常的に行う末梢留置カテーテルの穿刺や管理について、それらを「なぜ行うのか」を解説。末梢静脈ルートの確保はなるべく上肢で行います。やむを得ず下肢でルートを確保する場合の注意点を紹介します。

「どうしても」という場合以外は、上肢でルート確保できる部位をさがす

なぜこうする?

●下肢は固定が難しいことに加え、血栓形成リスクが高い部位のため

下肢でのルート確保は、やむを得ない場合にのみ選択される

 下肢での末梢静脈ルートの確保は、静脈炎のリスクが高まるほか深部静脈血栓形成の原因となります1-3。加えて、ADLが自立している患者さんにおいては歩行が妨げられます
 以上のことから、できる限り下肢でのルート確保は避けることが望ましいです。

 やむを得ず下肢の血管を選択する場合として、以下が挙げられます。

●上肢に循環障害や麻痺がある
●リンパ節郭清後である
●上肢に透析で使用しているシャントがある
●上肢に創傷や感染がある など

 また、ADLが自立している患者さんの場合は、ルートの確保が可能な部位を提示します。より安全で安楽な療養のため、患者さんと穿刺部位について話し合いましょう。

下肢にルート確保する場合も血管・神経の走行を理解して実施する

 上記を検討したうえで下肢にルートを確保する場合、選択する血管は、大伏在静脈足背静脈です(図1)。
 なお足背静脈の近くは、浅腓骨神経と深腓骨神経が走行しているため神経を損傷する恐れがあります。よって、下肢の静脈も上肢と同様に、血管と神経の走行を理解したうえで穿刺しましょう。

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