日常的に行う末梢留置カテーテルの穿刺や管理について、それらを「なぜ行うのか」を解説していく連載。今回は抗がん剤以外の血管外漏出時の対応について。「温罨法」ではなく「冷罨法」を実施する理由とは?

抗がん剤以外の血管外漏出時の対応は、「温罨法」ではなく「冷罨法」で行う

なぜこうする?

●冷罨法には炎症反応を抑制する効果があるため
●温罨法は、血管を拡張する効果があることからかえって炎症を促進してしまうと考えられる

薬剤漏出時、カテーテル抜去後の対応として冷罨法を実施する

 血管外に薬剤が漏出したとき、カテーテル抜去後の一般的な対応として、冷罨法と温罨法があります。

 武田らの研究等では、「温罨法は炎症反応が促進され傷害が拡大するが、冷罨法は炎症反応が抑制されるため、抗がん剤以外の薬剤が血管外へ漏出した際の対応は冷罨法が有効である」「20℃前後の冷罨法で炎症反応が軽減した」「ディスポーザブル手袋の片方に水道水200mLと大きめの角氷1個を入れた簡易氷囊において、皮膚表面温度が20℃前後に保たれ、患部を心地よい程度に冷やすことができる」1と述べられています(図1)。

図1 簡易的に実施可能な冷罨法の一例

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