『看護記録を整える』は、看護記録の見直し・改善について具体的に解説した、記録委員や管理者に最適な1冊。 今回は特別に試し読みで、「ココがポイント!看護記録の監査や教育」を公開します!
看護記録の監査とは
Point①看護記録の監査は、漫然と実施しても意味がない
看護記録の監査は、医療機関における品質管理と患者ケアの向上に不可欠な過程です。この重要な作業は、看護記録の正確性、完全性、適時性を評価し、法的および専門的基準への遵守を確認することを目的としています。
監査プロセスでは、記録の内容、形式、一貫性を詳細にチェックします。具体的には、患者の状態、実施された看護介入、その結果などが適切に記録されているかを確認します。
また、医療用語が正確に使用されているか、記録の読みやすさ、日付や署名の漏れがないかなども重要な確認事項です。
適切な監査が、業務効率化・看護の質向上につながる
定期的な監査を通じて、看護スタッフの記録スキルの向上、ケアの質の改善、リスク管理の強化が図られます。さらに、監査結果は教育や研修に活用され、組織全体の看護実践の向上につながります。
看護記録の監査は単なる形式的な作業ではなく、患者安全の確保、医療の質の向上、そして看護専門職としての責任を果たすための重要な取り組みです。適切な監査システムの構築と実施は、医療機関の信頼性と効率性を高めるうえで欠かせません。
Point②看護記録の監査も、「量(形式)」と「質」の両面を評価する
看護記録の監査とは、看護の質向上を目的に、設定した項目や評価基準に沿って、看護記録が記載されているか確認することです。看護記録の監査は、看護記録基準(→本書p.12)の理解を深め、“ 書きたいことを書くのではなく、書かねばならないことを書く ” ことのできる看護師の育成に寄与します。
監査には、看護記録の適切性をみる形式監査(→本書p.72)と看護の妥当性をみる質監査(→本書p.80)があります(表1)。
看護の質向上のためには、形式どおりに正しく記録されているかを見るだけでは不十分です。記録の内容、つまり、行われた看護が患者にとって最適であったのか、質監査で振り返ることが必要です。
表1 看護記録の形式監査と質監査

Point③帳票や諸記録の監査は、できるだけ多職種で行う
多くの施設では、定期的に診療録(カルテ)監査が行われていると思います。カルテは、患者の「診療の一連の過程を記録するもの」でもありますが、診療報酬請求のための根拠ともなります。そのため、入力漏れの有無や記載内容の精度を監査によって確認し、各部門にフィードバックしていくことが必要となります。
診療録の監査は、形式監査(量的監査)は情報管理部門・事務職が、質監査は多職種によるピアレビューの形式で行われることが多いとされています。
〈ちょっと詳しく〉監査の項目は、どう選定したらいい?
形式監査の項目を決める際には、看護記録基準に沿って記録ができていない部分、病院機能評価や保
健局などの立入検査などで指摘を受けた内容を取り入れることをお勧めします。なぜなら、これらの項
目は、施設の「弱いところ」と考えられるからです。
ただし、項目が多すぎてもいけません。多くの患者のカルテを監査するためには、施設の弱いところ
を中心に、ある程度項目を絞って設定するとよいでしょう。監査の結果、弱みとなっている記録の記載
率が高くなったら、その項目から違う項目へ変更し、看護記録のさらなる改善を図ります。
(天野典子、村岡修子)
看護記録教育とは
Point①看護記録の「意味」「目的」を意識づけることが大切
看護記録の教育は「よりよい看護とより安全な看護のための教育」だといえます。
これまで述べてきたように、看護記録は、あらゆる場で看護実践を行うすべての看護職の「看護実践の一連の過程を記録したもの」です。このことを理解し、正しい記録の方法を学習することが、看護の質の向上や医療安全につながります。
Point②「考える力」「書く力」は経験の積み重ねによって磨かれる
正しく記録することで、日ごろから、自分が素晴らしい看護を実践していることを証明できます。同時に、患者と自分を守ることにもつながりますから、ぜひ前向きに取り組みたいところです。
しかし “記録が苦手”という看護師は多いです。看護記録を書く際には、「何を書いたらよいのか」を考える力や、「情報が伝わるように」書く力(的確な表現力)が求められるため、指導・訓練が必要といわれています。だからこそ、継続的な教育が大切となるわけです。
また、看護記録を書く際には、「何を書いたらよいのか」を考える力や、「情報が伝わるように」書く力(的確な表現力)が求められるため、指導・訓練が必要といわれています。
Point③看護記録の継続教育には「ラダー別教育」が有効
看護記録について学ばなければならないのは、新人看護師だけではありません。
中堅看護師の記録が意外と「正しく書けていない」場合もあります。また、ベテラン看護師には「正しい看護記録を書く」だけでなく、看護記録と密接な関係をもつ「クリティカルパスの改訂」などといった新たな役割を担ってもらう必要があります。
そのため当院では、看護記録に関するラダー別教育を行っています(図1)。
図1 当院における看護記録のラダー別教育

(高瀬園子、瀧沢美奈、天野典子、村木泰子)

看護記録を整える
NTT東日本関東病院看護部記録委員会 著
相馬泰子 監修
村岡修子 編集
B5・144ページ、定価:2,860円(税込)
照林社
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