川嶋みどり 看護の羅針盤 第7回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

　看護労働に対する経済的評価はきわめて低い。入院看護において入院費の中に看護料と基準看護採用による加算がわずかに認められているだけで、外来看護の場合は、外来患者30 名につき看護師は1 名という「医療法」の規定がありながら、看護料金はゼロである。

　つまり、看護師が医師の補助労働として行うものに関しては、病院や医院の経営にとって生産性に寄与しても、看護労働そのものへの評価はされない。極言すれば、密度の濃い看護労働を提供すればするほど、一人あたりの看護師の生み出す病院収入は下がるのである。

（出典：『看護の自立2　看護婦の労働と仕事』54ページ、勁草書房）