川嶋みどり 看護の羅針盤 第37回

　20世紀半ばから現在に至るまで、看護は多くの変化と困難を乗り越えてきました。その中で「書く」という営みを通じて、看護実践の価値を問い続けた川嶋みどり先生が、これまでの経験と想いを綴った言葉を厳選し、一冊の本にまとめたのが『川嶋みどり看護の羅針盤 366の言葉』 （ライフサポート社、2020年）。　

　この連載では、本書に収載された看護の現場や看護職の想いだけでなく、個人としての視点や感性も込められた366の言葉を、毎日1つずつご紹介します。

そのほか「川嶋みどり 看護の羅針盤」の記事はこちら

　人間の生活行動を安楽の視点から見ると、単に生命を保持するというだけにとどまらず、人間として生きる権利をどう保障するかということにつながる。
　
　まず基本には、人間が生きていく上で欠かせない生理的な条件、すなわち、呼吸する、食ベる、排泄する、眠るなどが正常に近い形であること。第2に、それらの生活の背景となる場や環境の問題、第3に、その個人の生活習慣や生活様式の問題が加わって、「安楽感」が満たされていくと考えられる。

　しかも、この3つの条件は、安楽を満たす上での最低条件であり、個々の人間の趣味や教養など、文化的要素はこの上に限りなく積み重なっていくのである。

（出典：『看護技術の安楽性』48ページ、メヂカルフレンド社）