急変対応は何年たっても自信がもてないもの。急変を起こさないようにするためには、観察やアセスメントが重要です。看護師や研修医に向けて、救急初期対応などの研修を豊富に行っている坂本壮先生の新刊『急変対応の授業』の一部を抜粋(全4回)。第3回は、第1回で紹介した急変対応において大切なことの2つ目「急変のサインを知り、評価すべきポイントを理解する」について解説します。 

急変対応で大切なこと➁急変のサインを知り、評価すべきポイントを理解する

真の“急変”とは?

 本当の急変、それは“あらかじめ意識することができなかった急変”です。基礎疾患のない若年者の急変は稀ですが、高齢入院患者では、入院理由にかかわらず、心筋梗塞や脳梗塞など致死的となり得る疾患は一定数起こりえます。急を要する病気が院内で発症したときに、早期に疑い、迅速に介入するためにはどうすればよいでしょうか?

 また、5Pを意識していても、慣れないうちは緊急度や重症度の見積もりは難しいことがあるものです。
「なんだか普段と比べて反応が悪いな」
「SpO2は問題ないけれど、呼吸が速い気がするな」
「バイタルサインは問題ないけれど、食事摂取量が少ないな」

 こういったことに気づいていながらも、そこから一歩踏み込みアセスメントすることは、はじめのうちは難しいものですよね。

早期警告スコアリングシステム(EWSS)とは?

 EWSSというものをご存じでしょうか? これは、危機的状況にある患者を特定するためのツールで、世界各国から複数のスコアが発表されています。代表的なものとして、ここではNEWS(表1)を紹介しておきます1急性疾患の重症度評価や臨床的悪化の早期発見に使用することが推奨されているのですが、バイタルサインを中心に構成されていることがわかります。その他、尿量や年齢を含むスコアも存在しますが、まずはNEWSでもそうであるように、誰でも評価可能なバイタルサインをきちんと評価し、判断できるようになりましょう。

表1 NEWS(早期警告スコア)
(文献1より引用)

 バイタルサインに関しては他の回で取り上げて解説しますが、大切なことを1つだけ今回は覚えておいてください。

モニターに表示されないバイタルサインが非常に重要である  

 これです。もちろん、血圧や脈拍、SpO2も大切なのですが、意識状態、そして 呼吸数がきわめて大切です。「いやいや、呼吸数もモニターに出てるじゃん」、そう 思ったあなた、その数値を信じてはいけません。あれは当てにならないのです(ス ヤスヤ寝ていて呼吸状態が安定している場合には、参考になることはありますけど ね)。  

 心停止か否かを見きわめるときに、血圧測定しませんよね。まずは呼びかけて意 識を確認し、その後にやるべきことは呼吸が正常か否かです。反応がなく呼吸が正 常でなければ即、胸骨圧迫開始でしたよね(自信がない方は確認しておいてくださ いね。本書でも扱いますが、きわめて大切なことですので)。呼吸数は最も大切な バイタルサインといっても過言ではありませんが、軽視されているバイタルサイン としても有名です。世界各国からEWSSが報告されていると述べましたが、すべて 呼吸数が入っています。  

 高端ナースが山咲ナースに相談したとき(第1回)、そこに呼吸数の記載はありませ んでした(気づきました? 気になっていたあなた、すばらしい)。意識状態の評価 も入っていませんね。これではダメなのです。

1.Royal College of Physicians:National Early Warning Score(NEWS)2.
https://www.rcp.ac.uk/improving-care/resources/national-early-warning-score-news-2/(2025.1.20アクセス)

【本記事は、『急変対応の授業』からの抜粋です。続きは書籍でどうぞ】

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