尿糖検査の精度を保つには、検体の取り扱い方や、薬剤の影響を正しく理解することが大切です。尿の室温放置による影響や、注意したい薬剤などをわかりやすく解説します。
尿糖検査の検体放置に注意
Q. 尿糖検査はなぜすぐ提出する必要がある?
A.
室温で放置すると、糖が低値になるからです。
尿糖検査は、検体をできる限り早く提出することが重要です。尿が細菌にとって栄養が豊富な、増殖によい環境だからです。
細菌は増殖に際して、糖分を分解しエネルギーを産生します。そのため、尿路感染症などで尿中に細菌が存在する場合は糖を消費してしまい、尿糖検査は低値となります。
尿検査ですぐに提出できない場合は、検体の“保存条件”が重要となります。室温では細菌が増殖しやすいため、冷蔵(4℃)による保存で細菌の増殖を防ぎます。この冷蔵保存は冷蔵庫内で保存することが推奨されています。また室温、特に直射日光の当たるような場所での尿検体の放置は、尿糖だけでなく他の検査項目にも影響を及ぼす(表1)ために注意が必要です。
表1 尿定性検査(試験紙法)における尿の室温放置の影響
ph
変化:アルカリ化
原因:細菌増殖による尿素分解、アンモニア産生
比重
変化:高比重化
原因:濃縮による影響
糖
変化:減少
原因:細菌、真菌による消費
潜血
変化:陰性化
原因:初期は溶血による反応増強、のちにヘモグロビンの変性で失活
ケトン体
変化:減少
原因:分解後揮発
ビリルビン
変化:減少
原因:ビリベルジンへの酸化
ウロブリノーゲン
変化:減少
原因:ウロビリン体への酸化
亜硝酸塩
変化:減少
原因:初期は細菌により亜硝酸塩の還元促進、後に分解
白血球
変化:陰性化
原因:エステラーゼの変性失活
(文献1より引用、一部改変)
薬剤による尿糖検査への影響は?
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