日々の看護業務のなかで感じるさまざまな悩み。内容によっては他職種に相談することで、すぐに解決するかもしれません。どんな状況で、どんな職種の人が頼りになるか、現場の声から考えます!
喜多きた
理学療法士(PT)
10年以上の病院勤務経験のあるPTで、メディッコ代表。ナースもリハスタッフも気持ちよく効率よく働けるように、全体を見ながら働くことを心がけている。
えだなえだな
作業療法士(OT)
急性期病院で5年目のOT。メディッコでは漫画・イラスト担当。最近はまとめ役となるような業務を担うようになったため、現場のあらゆる場面で潤滑剤になるべく働いている。
●PT(physical therapist:理学療法士)
リハスタッフの一員。主に寝返り・立ち上がり・歩行といった基本的動作能力の改善を図るため、筋力増強練習や歩行練習などを行う。
●OT(occupational therapist:作業療法士)
リハスタッフの一員。主に生活動作の練習を担う。麻痺側を使った料理動作や、装具を使用してのトイレ動作など、障害や疾患を抱えた状態であっても、その人らしい生活ができるように工夫したアプローチを考えるのが得意。
ナースとリハスタッフ間の申し送りが難しい!限られた時間できちんと情報や目標を共有するには?
毎日、業務が忙しいなかで、リハスタッフとの情報共有、申し送りがうまくいかないと感じています。
ナースが知らない患者さんの情報をリハスタッフが知っていたり、反対にナースが注意しているポイントをリハスタッフが知らなかったり……。
その結果、患者さんに同じことを聞くことになり、「リハビリのとき伝えたのに……」と言われてしまう始末。
他の病院ではどのようにリハスタッフとの情報共有をしているのでしょうか?
お互いの負担が少なく、スムーズにできる方法を知りたいです。
病棟⇄リハビリ室の申し送りで困ったら、まずはPT、OTと連絡をとるのがよさそうです。さて、具体的にどんなことを伝えればよいのか、ナース側で何を工夫すればよいのか、詳しく見ていきましょう!
申し送りがうまくいっていないことを共有しよう
ナースとリハスタッフ間の申し送りがうまくいかないことは、現場でよく耳にする困りごとですね。リハスタッフからもよく耳にします。
そこでまずは、リハスタッフと「申し送りがうまくいっていないこと」を共有してみましょう。リハスタッフも、「こちらも困っているけれど、どうすればよいかわからない……」「そもそも困っていることに気づいていない」といったことがあるのです。「ねえねえ、申し送りうまくいけてる?」、そんな一言をかけるところから始めましょう!
ただし、若手リハスタッフは、自分のことで精一杯ということがあるので要注意。そんなときはちょっとリードしてあげましょう。逆に、ベテランのリハスタッフの場合にはリードしてもらいましょう。
目標やADLを可視化してみよう
リハビリ目標やADLは、医療スタッフだけでなく患者さん自身も把握しておきたいものですよね。そこで、これらを「可視化」してみましょう!
患者さんの部屋の目につくところに、「目標:今月中に杖歩行で自立する」「ADL:車いす移乗は見守りで」といった内容を掲示してみるのです。文章だけでなく、ピクトグラムを使うのもよいですね。
そうすることで、「リハスタッフだけが目標やADLを知っている」ということもなくなりますし、変更する際にはナースに声かけしてもらう習慣もつくれます。もちろん、変更があったときにはナースもリハスタッフも相手まかせではなく、迅速に貼り替えるように協力しましょう。
そうそう、可視化といえばカルテの書き方も大切です!
リハスタッフは専門性の高い内容を記載することがあるので、ナースや他職種に読んでほしい内容はわかりやすく記載してもらうように伝えましょう。例えば、「ADLの変更は、カルテの一番最初に記載してください」といったような声かけはよい例ですね。
リハスタッフにナースステーションに寄ってもらおう
「リハスタッフって知らない間にリハビリしてる!」なんて声を現場ではよく聞きます。ナースに気づかれないようにリハビリしてるんじゃない?と思ってしまうこともありますよね。
そこで、リハスタッフに「患者さんのリハビリ前後には声をかけて!」と伝えてみましょう。リハスタッフがナースステーションに寄って話す習慣をつければ、わざわざ時間をつくらなくても自然と申し送りが行えちゃいます。
まずは、「リハビリ行ってきます~!」、「はい、がんばって!」といった一言のやりとりでOKです!もちろん、ときには忙しくてリハスタッフの声かけに反応できないときもあると思います……。それでも、会釈したり、ハンドサインで「OK」をつくるなどして返せるとよいですね。
あと、ナースや病棟スタッフだけで行っているカンファレンスにリハスタッフを呼ぶのもよいですね。気になることができたときや情報がズレたときに、お互いに気づける機会になります。
そして、これらを実践するときには、リハスタッフがナースステーションに入りやすい雰囲気をつくってあげてくださいね!
患者さんからの鎮痛薬の要望があったときはどうする?【多職種連携でわからないことは、他職種に聞こう:第2回】
この記事は『エキスパートナース』2021年4月号記事を再構成したものです。
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