リハスタッフが患者さんとかかわるのは、基本的にはリハビリの時間だけ。リハビリ時以外の患者さんのことや、日ごろ問題になっていることなど、リハスタッフから看護師に確認したいことを紹介します。

たみお

たみお

理学療法士(PT)、11年目。「運動の先生」と他職種からは言われることが多いが、深掘りしていくとマッサージのイメージも強いことがあり、説明に疲れてきている。

普段のADLや睡眠などの生活習慣が気になっています

 PTは動作の専門家なので、やっぱり患者さんの普段のADL状況が気になります。「リハビリのときは歩行器で安定しているけど、夜間は大丈夫なのかな?」など、リハビリ以外の時間で安全に生活できているかが心配なこともあるので、そのようなときはよく看護師さんに状況を伺います。
 また、「睡眠時間はどうか」「食事はちゃんと食べられているか」など、リハビリ時に影響のある生活習慣がどうなっているかも気になっています。そのような普段の生活全般を把握しているのが看護師さんだと思っているので、積極的に協力できたらうれしいです!

大平

おおひら

理学療法士、6年目。よく、「移乗を手伝って」と言われがちなため、力仕事専門と勘違いされていないか心配している。看護師と連携して患者さんがハッピーになった経験があり、もっと連携できないか思案中。

日ごろ困っていることは随時教えてほしいです

 看護師さんが現在のケアで困っていることは、退院後に家族や施設スタッフが同じように困るかもしれないことでもある、という見方もできます。1日のなかでどこのケアが大変か確認し、そこに対してチームで連携して目標を達成できたことで、早期退院が可能になった経験があります。
 よく、各職種がそれぞれに専門性を発揮して、患者さんの希望を叶えるべき!という考え方がありますが、連携が不十分だと退院時期が延びてしまいがちです。そこで、チームで目標を絞っていき、連携してアプローチを行うことで、よい結果につながりやすいと思います。
 そのため、看護師さんが困っていることを、もっと他職種に伝えてもらい、共有してほしいです

えだな

えだな

作業療法士、6年目(と、途中から始めた漫画家は2年目)。「えっ、OTさんなんですか? てっきり……」となぜかOT以外の他職種に間違えられることが多い。最近、漫画を描いていることが同僚に漏れており、「今度サイン書いてね」と言われ窮地に立っている。

患者さんの痛みについて知れるとリハビリもスムーズ!

 看護師さんに一番相談したいのは、患者さんの「痛み」についてです。リハビリのため訪室しても「今、痛いから動けないんだ」と言われて離床できず、廃用が進んでしまい、ベッド上生活が長くなってしまう……という悪循環を引き起こしやすい状況になっていることがあります。
 そんなとき、鎮痛薬の投与とリハビリの介入時間をすり合わせることができると、スムーズに離床を進めることができ、早期退院につながりやすいです。特に術後の痛みは薬剤の効果に期待する部分が大きいので、OTに一声かけてもらうだけでも患者さんの離床程度がガラッと変わります。「〇〇さんのリハ、いつ入りますか?」と聞いていただけるだけでもよいので、ぜひ話しかけていただけるとうれしいです。

すま

すま

作業療法士(OT)、12年目。若かりしころは看護師に作業療法の魅力を伝えようと奮闘して、空回りしていた黒歴史をもつ。最近は、その魅力は背中で語ることにしている。

問題行動があったら、看護師さんと協力して解決したいです

 危険行動と思われることや問題行動として扱われる行動を見つけたとき、「その問題をどうしたら減らせるか」を対策として挙げることが多いと思います。こうした問題はネガティブに捉えられることが多いですが、OTは、患者さんが「本当にやりたいと思っていること」の手がかりとして、ポジティブに捉えています
 このように患者さんの強い意思の源を理解することは、患者さんとのラポール(意思の疎通や感情的共感の成立)形成のきっかけになりますし、活動意欲を引き出すことにつながるからです。問題行動で困ったときは、OTと協力して患者さんの「やりたいこと」を共有してみませんか?

みややん

みややん

言語聴覚士(ST)、11年目。「STって何してくれるの?」「STって少ないよね。何で?」などの質問を受け続けている一方で、「STって必要だよね」とも言っていただき、周りの人によくしていただいている。

適切な食べ方、必要な配慮を一緒に考えていきましょう

 「大きなスプーンで食べれば、早く食べ終わる」と患者さんや介助者が大きいスプーンを選ぶ場面をよく見かけます。しかし、嚥下障害のある患者さんは基本的には安全性のために小さいスプーンで食べていただきたいです。
 大きなスプーンほど誤嚥リスクは増します。大きなスプーンを使った結果、むせて疲れたり、むせがおさまるまで待つことになったりして、結局「小さいスプーンで食べるほうが楽に、スムーズに食べられる」ということもあります。
 その患者さんがどのように食べているのか、どのような配慮が必要なのかということを一緒に考えていきたいです。

 看護師とリハスタッフは、患者さんとの距離も近い職種です。それぞれが患者さんの生活に沿ったかかわりをすることで、双方のかかわりが重なる部分もあるかと思います。そのなかで、お互いの得意なところをまずは知り、声をかけ合い、協働していけたらよいと思います。

多職種連携のリアル【最終回】リハスタッフが看護師に伝えたいこと

この記事は『エキスパートナース』2021年2月号連載を再構成したものです。
当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。