せん妄のメカニズムを知れば、効果的な対応・ケアが見えてきます!今回はせん妄に対する看護ケアの効果を解説。せん妄の予防・改善につながる看護ケアや非薬物療法プログラムを紹介します。

看護ケアで、せん妄の発症を防ぎ、転倒を軽減することができる

 せん妄には抗精神病薬を使用しますが、抗精神病薬はせん妄の予後を改善しないなど批判的な意見が優勢となりつつあり、メカニズム的にも対症療法に位置づけられています。

 一方、看護ケア、リハビリテーションなど多職種でせん妄の複合的な原因に介入することは合理的であり、ガイドライン1でも推奨されています。海外ではHospital Elder Life Program(HELP)2※などせん妄予防プログラムで、ボランティアスタッフを積極的に導入しています。

 また、非専門家でも、会話での刺激便秘・脱水の治療・ケアを行うことでせん妄を予防したり、改善につながることが証明されています3。非薬物療法のプログラムを以下に紹介します。

 せん妄は注意力障害や見当識障害から、外傷にも及ぶ転倒や事故抜去などのインシデント・アクシデントの原因になります。しかし、看護師を中心にせん妄対策をすることで、せん妄の発生率を減少できるとともに、転倒を軽減することができます。

※【HELP】トレーニングを積んだボランティアをベッドサイドに派遣し、運動や活動の補助や、薬剤を使用しない睡眠調整などを多職種で行うプログラム。

非薬物療法のプログラム例(文献3より一部改変して引用)

【環境整備】
●適切な部屋の照明にする(患者の生活に合わせて、間接照明などに)
●大きな壁掛け時計を設置する
●低床ベッドを使用する
●転倒防止設計のトイレを設置する

【家族教育】    
●毎日面会し、会話・サポートを推奨

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