一般病棟でも注意しておきたいPICS(集中治療後症候群)についてわかりやすく解説。今回は、PICSの代表的な3つの症状である運動機能障害、認知機能障害、精神障害を紹介します。生存者および非生存者の家族で発生するPICS-F(PICS-Family)もおさえておきましょう。

①運動機能障害

 救急集中治療医学の進歩により、重症患者の死亡率は低下しましたが、ICU生存患者のなかには、重篤な運動機能障害が長期間残存していることが明らかになってきました。これは、PICSの運動機能障害に分類され、肺機能障害、神経筋障害、全般的身体機能障害が含まれます。

 特に、重症疾患の罹患後に、左右対称性の四肢のびまん性の筋力低下を呈する症候群をICU-AWと呼び、PICSの運動機能障害のなかで最も重要なカテゴリーとして注目されています。

 ICU-AWの罹患により、人工呼吸期間が延長するとともに、ICU滞在日数や在院日数の増加、さらには死亡率も上昇します。また、後遺症としての四肢麻痺は、時に数か月から数年にわたって重症疾患後の生存患者の運動機能を低下させます。

 ICU-AWのリスク因子には、以下のようなものが考えられています。ICU-AWに対する有効な治療法は確立していないため、早期リハビリテーション、電気筋刺激、血糖管理などの予防策の有効性が期待されています。

ICU-AWのリスク因子

●多臓器不全
●長期の人工呼吸管理
●全身性炎症性疾患
●敗血症
●腎代替療法
●高血糖の持続
●長期臥床
●女性
●異化亢進
●糖質コルチコイドの使用
●筋弛緩薬の使用

②認知機能障害

 ICU患者は一般に、認知機能障害を合併しやすいことが知られています1。認知機能障害は、ICU退室患者の30~80%に発症します。認知機能が障害された高齢者は、死亡率増加のリスク因子となるだけでなく、医療費の増加にも関連し、さらに家族の大きな負担となるため、大きな社会問題となります。

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