ICU-AWの診断に必要な四肢の筋力の評価

 ICU-AWの診断には、人工呼吸管理患者以外は四肢筋力を評価する必要があります(図1)。診断基準の項目の1つにMedical Research Council(MRC)scoreがあります。MRC scoreを測定する場合、まず患者の協力レベルの評価を行い、随意筋力評価を実施できる状態か確認します。検査の標準体位は、重力に抗した運動(グレード≧3)を行う際には45度頭高位の設定とし、四肢筋力を評価します。

 一般病棟でスクリーニングとして評価する際には、図1-①のように45度頭高位でグレード3に示すような上肢の挙上が可能か、また、図1-②のようにグレード3の膝立て運動が可能かどうかを評価しましょう。これらの運動ができなければICU-AWを疑います。

 一方、これらの運動がグレード4/5に表示するように抵抗に抗して行えるのであれば、ICU-AWの可能性は低いと考えます。

 実際の診断には、左右の肩関節外転、肘関節屈曲、手関節背屈、股関節屈曲、膝関節伸展、足関節背屈の筋力を標準的な方法で測定する必要がありますので、詳細な評価方法は日本語版ICU入室の重症患者における四肢筋力評価プロトコル:日本語版 ICU Medical Research Council Score(ICU MRC score-J)2を参照ください。

図1 MRC score測定の方法(一般病棟でスクリーニングとして行える内容)
1.Stevens RD,Marshall SA,Cornblath DR,et al.:A framework for diagnosing and classifying intensive care unit-acquired weakness.Crit Care Med 2009;37:S299-308.
2.ICU入室の重症患者における四肢筋力評価プロトコル:日本語版 ICU Medical Research Council Score(ICU MRC score-J)1.2.
https://www.rishou.org/wp-content/uploads/2019/10/MRC_score_J.pdf(2024.1.26アクセス)

PICSにさせない看護のコツ【第5回】PICSの予防対策:運動機能障害予防のための早期リハビリテーション②

この記事は『エキスパートナース』2019年8月号特集を再構成したものです。
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