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ICU-AWはPICSの運動機能低下に注目した概念で、主に筋肉と神経が障害されることで、重症であるほど体が弱り、ひどい場合にはまったく体を動かすことができなくなります。特に筋肉には、栄養とタンパク質が維持にも増強にも必要不可欠です。
筋合成には栄養と運動が重要
筋肉はタンパク質で形成されているため、筋肉がつくことを筋タンパク合成として生理学的に評価できます。筋タンパク合成を最も誘発する行為がプロテイン、つまりタンパク質を摂取することです。栄養があまるからこそ筋肉がつく、特に筋肉をつくるのはタンパク質だからです。
一方、運動は筋タンパク合成をブースト(促進)する行為であり、筋タンパク合成曲線が上にシフトします(図1)。栄養なくしては筋合成はなされませんので、運動だけでは筋肉はむしろなくなります。
とはいえ、筋合成の効率を高めるために運動は大きく貢献するので、栄養と運動を合わせることが重要です。運動強度にもよりますが、運動直後の3時間ほどが最大となり(プロテインのゴールデンタイムといわれる時間です)、その効果は長いと24~48時間持続するといわれています(その後も1日量としてプロテインをとることが重要)。
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