電話対応のコミュニケーションエラーの対策や、実際の工夫は?

すま(作業療法士) みなさん、なんだかんだ電話対応の場面は多いですよね。僕が気をつけていることは、電話を受ける人は、言葉通りの意味で受け取るのではなく、どういう意味かを確認することです。こうすることで、例で挙げたようなずれを防ぐことができると思います。

 例えば「〇〇ということですね?」と確認をするなどです。みなさんのところはどうですか?

うめだ(管理栄養士) 私のところは、どのスタッフが電話に出ても患者さんに同じ対応ができるように、就職後のカリキュラムのなかに電話対応の項目があります。初診の方、再診の方、予約のキャンセルなど、さまざまな場合を想定して、電話対応のポイントをスタッフで共有します。

 実際にスタッフどうしでロールプレイ研修も行っています。あとは、電話で患者さんから受けた内容で、情報共有が必要だと思ったことは、電話やりとりだけでなく、電子カルテも併用して記載するようにしていますね。

S.O(薬剤師) クリニックなどのように、ある程度決まった流れのものは、マニュアルやロールプレイ研修などで連携ミスがかなり減りそうですね。私も受け手になる場合、要点は復唱するように気をつけています。

 また、忙しいと用語が略語になりがちですが、できる限り正確な用語を用いるようにしていますね。すれ違いはどうしても発生しうるものなので、発生した際のリカバリーが効くように、日ごろから雑な言葉は使わず、丁寧な言葉で対応するようにしています。
 個人的には、男性は声が低く、聞き取りにくいこともあるかと思うので、通話時は若干声のトーンを上げています。

あみ(助産師) そんな配慮まで……!薬剤師さんとの電話でのやりとりは、特に緊張しますね。似ている薬の名前やカタカナで言いづらい、聞き取りにくいものが多いほか、mLとmgの違いで大変なインシデントとなってしまうこともありますから……。
 S.Oさんの言うように、丁寧な言葉の選定は大事ですね。私は、忙しいときほど連携ミスが起こりやすいと思うので、日ごろから5W1HやSBARを意識しながら相手に伝えるようにしています。

すま(作業療法士) 日ごろの情報共有も大事になってきますね。ところで、SBARってどんなものでしたっけ?

あみ(助産師) SBARは、アメリカで医療安全と質の管理を目的に開発された『TeamSTEPPS』というチームワークトレーニングで用いられている報告のためのツールです。
 具体的には、以下の4つの頭文字をまとめたもので、それぞれ、漏れなく情報を相手に伝える手がかりになっています。最近はさらに詳しく、「Identify(報告者、対象者の同定)」と依頼、要請の確認のために「Confirm(口頭指示の復唱確認)」が追加され、「ISBARC」ともいわれるようになっているみたいです!

S:Situation(状況、状態)
B:Background(背景、経過)
A:Assessment(評価)
R:Recommendation(依頼、要請)

すま(作業療法士) そうしたツールがあるんですね!すべて1つひとつ確認しながらやると難しそうですけど、基本的な報告の流れとして、ポイントをおさえたやりとりができそうですね。

多職種連携のリアル【第4回】コミュニケーションエラー②目標やゴールのずれ、優先順位の違い

この記事は『エキスパートナース』2020年7月号連載を再構成したものです。
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