人によってニュアンスが変わる、観察項目の表記のしかた

rosso(看護師) 私は、観察項目で使う排便量や痰の量、ドレーン性状などの評価が共有しにくいなと思います。例えば、排便状況は個人別にシートを作成しているのですが、「硬便少量・中等量」などは各スタッフの主観でしかありません。

 そのため、「鶏卵状」など、誰もがイメージできるようにスケールを統一しました。介入したスタッフしかわからないことをスタッフ間で情報共有し、アセスメントしていかなかればならないため、簡便・明瞭でないといけないと思います。職種にかかわらず、人によってニュアンスが変わるものですね。

職種によって特有の略し方がある薬剤

猫兄貴(薬剤師) 薬剤師は医師や看護師が行う処置に直接絡むことが少ないので、処置の方法や道具についてわからないことはけっこう多いですね。外科にいると、術式や、薬剤師なのにオペ時に使う薬のこともわからなくて、最初は大変でした……。

 あとは、薬の略し方が薬剤師と他の職種で異なっていて一瞬わからなかったこともあります(笑)。逆にその略し方が他の薬剤と紛らわしいことがあるので、注意しています。例えば次のようなものです。

職種による特有の略し方がある薬剤の例

【看護師の例】
「ムコムコ」⇒ ムコダイン®とムコソルバン®
「アドトラ」⇒ アドナ®とトランサミン®
「アブラキ」⇒ アブラキサン®
「コンチン」⇒ オキシコンチン®
*MSコンチン®という麻薬もあるので、「コンチン」という略し方は危険!

【薬剤師の例】
「ナブパク」⇒アブラキサン®(ナブパクリタキセルから)
「タス」⇒ロンサーフ®(TAS-102という開発コードから)
「タクロ」⇒プログラフ®(一般名のタクロリムスから。このように製品名ではなく一般名で呼んだりすることも)


松田(臨床工学技士) どの職種同士でもそうですが、伝わらない言葉は本当に多いですね。臨床工学技士の医療機器関係など、まったく伝わらないものも多いです(笑)。

 そんなときは面倒くさがらず正式名称や一般的な言葉で看護師さんと話す努力をしていました。患者さんのための多職種連携ですから、一番大切なのは患者さんにとっての適切なやりとり。そこを意識して、お互いにわかりやすい言葉でコミュニケーションがとれるといいですね。

多職種連携のリアル【第10回】事例で検討①終末期患者の多職種連携

この記事は『エキスパートナース』2020年9月号連載を再構成したものです。
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