各職種に対してナースが「ココが知りたい!」と思うこと、そして各職種が「ココは私に聞いて!」と思うことを聞いてみました。今回は、理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)のリハスタッフチームに登場してもらいました。

看護師からのPT・OT・STへの質問②

病棟でも継続してできるリハビリについて知りたいです!週末や大型連休でリハビリが休みのときなどに、病棟でできることにはどんなことがあるでしょうか。

たみお

たみお

理学療法士(PT)、11年目。「運動の先生」と他職種からは言われることが多いが、深掘りしていくとマッサージのイメージも強いことがあり、説明に疲れてきている。

日常生活動作もやり方次第で立派なトレーニングに!

 日常生活での立ち上がる、座るなどの動作は、ゆっくりした動作で行ったり、回数を頻回にすることで下肢の筋力トレーニングになります。また、歩ける人であれば病棟での散歩を早歩きにしてもらったり、いつもより長い距離を歩いてもらったりするのも運動になりますね。
 普段、PTが自主トレを指導する際は、各患者さんに合わせて安全性を考えたメニューを案内しています。時にはメニューを紙に印刷している場合もあるので、事前に担当PTに相談してみるのもよいと思います。

大平

おおひら

理学療法士、6年目。よく、「移乗を手伝って」と言われがちなため、力仕事専門と勘違いされていないか心配している。看護師と連携して患者さんがハッピーになった経験があり、もっと連携できないか思案中。

やり方や回数はPTに聞いてくださいね

 自主トレや歩行こそがリハビリだ!というイメージが強いと思います。そのため自主トレを患者さんからお願いされても、看護師さんの業務の隙間時間でできる量ではないことが少なくないと思います。 
 そこで、「個別でつきっきりで行うものがリハビリだ」という考え方から、「生活で行っている動作にプラスして行う運動もリハビリだ」というふうに切り替えると、PTに聞きやすくなると思います。
 例えば、「移乗前に立ち上がりを10回行ってから移乗を行う」などのように、普段の動きにプラスして行うことでリハビリになる内容もあるので、ぜひPTに聞いてみてください。

えだな

えだな

作業療法士、6年目(と、途中から始めた漫画家は2年目)。「えっ、OTさんなんですか? てっきり……」となぜかOT以外の他職種に間違えられることが多い。最近、漫画を描いていることが同僚に漏れており、「今度サイン書いてね」と言われ窮地に立っている。

ADLで使う道具を、手の届くところに置いてみてください

 OTの分野では、塗り絵や脳トレゲームなどの作業活動をリハビリとして提供しているイメージが強いですが、それだけではなく、ベッド周りに髪をとかすくしや顔拭き、ティッシュを用意しておくこともまた、病棟内でできる簡単なリハビリにつながります。
 というのも、起き続けることが難しい患者さんでも、ベッドの上で生活する動作は自立で可能な方は多いのです。それでも、手の届く範囲に道具がないとできませんので、床頭台の上にADLで使う用具を定位置で置くことで、身なりを整える意欲がわきます。これにより、どんどん離床へとつながっていく効果が得られることが多々あります。

すま

すま

作業療法士(OT)、12年目。若かりしころは看護師に作業療法の魅力を伝えようと奮闘して、空回りしていた黒歴史をもつ。最近は、その魅力は背中で語ることにしている。

病室でできることの提案のほか、用具の貸し出しも行っています

 自宅に帰ることを目標にしている患者さんの場合は、連休に限らず、部屋でできるリハビリや、リハビリ以外の時間に病棟で歩く練習をしてもらうように提案しています。
 部屋でできるリハビリについては、いつもリハビリの時間で行っていることを紙に書いておき、指や手、上肢全体の運動を行ってもらいます。そのほか、重りをつけた棒や洗濯ばさみ、ゴムバンドを貸し出すこともあります。
 また、1人で歩くことが不安な患者さんはリハビリ以外の時間に歩きたくてもできないため、看護師さんが付き添ってトイレに連れて行ってくれるだけでも効果的な運動になります。連休中のリハビリは安全を優先していますが、看護師さんの協力が得られると+αの効果が引き出せるので、声をかけてもらえるとうれしいです。

みややん

みややん

言語聴覚士(ST)、11年目。「STって何してくれるの?」「STって少ないよね。何で?」などの質問を受け続けている一方で、「STって必要だよね」とも言っていただき、周りの人によくしていただいている。

食事介助をお願いするかも!食事の状況を共有しましょう

 STの分野では、連休中などに食事介助をお願いすることがあります。普段、STが食事介助をしている患者さんについて突然、「連休なので、代わりに明日から病棟サイドで食事介助お願いします」ということはほとんどないと思いますが、それでも食べる順番や一口の量、食べるスピードなどは事前に共有が必要です。
 食事介助を行っている患者さんは、特別な配慮が必要な患者さんが多いので、日ごろからの連携が特に必要ですね。

多職種連携のリアル【第16回】看護師から薬剤師への質問(6月26日配信予定)

この記事は『エキスパートナース』2021年2月号連載を再構成したものです。
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