さまざまな人と接する機会の多いナースが、円滑な関係構築のためにできる“ちょっとした言葉選びの工夫”を紹介します。今回は、患者さんに話を聞いてもらうコツです。
患者さんへの指導のコツは?

患者さんが指導を聞き流してしまうのはなぜ?
生活を工夫・改善することで、再発・増悪を防止できる糖尿病などの基礎疾患、心不全などの病態の患者さんには、自宅での生活に戻るための退院指導をします。
忙しいなか、看護師が一生懸命説明したのに、自分のこととして聞いていない様子だったり、真剣さに欠けていたり、退院した結果、指導内容をまったく守れず再入院になったりすると本当にがっかりしてしまいます。しかし、もしかすると看護師の情報の伝え方にも原因があるかもしれません。
自宅療養の場合、患者さんや患者家族はさまざまなことを自分たちでしなければなりません。「知らない」「自分に関係がある」「できる」と思うことは積極的に聞こうとするでしょう。
一方で、「すでに知っている」ことや「自分に無関係」「できない」と思うことは聞き流してしまうかもしれません。
皆さんの学生時代を思い出してみてください。授業の冒頭で、「この話、知っている」「自分(の興味や単位)と無関係」「理解できない」などと思った瞬間、その後の話を集中して聞こうと思えたでしょうか。聞き流していませんでしたか?患者さんも同じ状態なのです。
看護師
「退院後は自炊して塩分を控えるように調整してください」
患者さん
「はい……(塩分制限が必要なのは知っているけれど、自炊は無理だな)」
患者さんが関心をもってくれる指導とは?
何か情報を伝える際には、まず患者さんに関心をもってもらう必要があります。「知っている」ことと「知らない」ことを、Yes/Noでは答えられない質問形式で尋ねます。
例えば、「心臓に負担がかかりにくい食事について、どのようなことをご存じですか?」などです。「塩気が少ないほうがよいらしいね」といった正しい返答があれば「そのとおりです。よくご存じですね」など、それを承認します。患者さんも、知っていることを褒められて悪い気はしないでしょう
また、「味噌汁1杯で塩分は何gくらいだと思いますか?」と尋ねて答えが違った場合でも、患者さんが1度考えた後に食品塩分量の資料を渡したほうが、患者さんの記憶に残りやすくなります。
これは、人は聞かれたことについて、考えても答えがわからなかったり、自分の答えと違ったりしたときに、より真剣に話を聞こうという心理がはたらくからです。
看護師
「心不全の方がご自宅で療養される際の注意について、どんなことをご存知ですか?」
患者さん
「塩分や水の摂りすぎとか……」
看護師
「そのとおりです。よくご存じですね」
説明するのは「患者さんの考え」を引き出すため
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