違いを理解するカギは「吸気流速」

 ここで酸素投与の話に戻ります。酸素投与の表記は〇L/分でした。

 この単位は吸気流速(L/分)と同じ単位になります。成人男性は吸気流速30L/分あるところに、1~15L/分の酸素を流している(注:低流量の場合の酸素流量)ということになります。

 イメージとしては、吸気流速30L/分の吸気の流れに、濃度100%の酸素を1~15L/分、流している感じです。いくら酸素15L/分を流したとしても、残りの15L/分は室内空気を吸入してしまうことになります。

 また、吸気流速は患者さんの年齢や体格、疾患によっても影響を受けるため、吸入している酸素濃度は一定ではありません

 そこで酸素濃度を一定に保つには、特殊な構造で酸素濃度や吸気流速を調節するベンチュリーマスクやベンチュリーネブライザー、または30L/分以上の流速で酸素を送るハイフローセラピーを用いる必要があります。これらを高流量システムといいます。

 それ以外の経鼻カニューレや簡易型酸素マスク、リザーバーマスクによる酸素投与は、すべて低流量システムによる酸素投与です。

1.宮本顕二:ネブライザー付酸素吸入器(インスピロンネブライザー アクアパックネブライザー)で高濃度酸素吸入はできない.日本呼吸器学会雑誌 2005;43(9):502-507.
2.磨田裕:加温加湿と気道管理 人工気道での加温加湿をめぐる諸問題.人工呼吸 2010;27(1):57-63.
3.西田修監修,竹田晋浩編:ハイフローセラピー実践マニュアル.ライフ・サイエンス,東京,2014.

本当に効果がある酸素療法【第2回】低流量システム・高流量システムの使い分け

この記事は『エキスパートナース』2019年8月号特集を再構成したものです。
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