さまざまなデバイスが存在する酸素療法を、基本から解説!今回は、酸素療法で改善できない低酸素血症の原因と対応について取り上げています。
肺炎の診断を受けた50歳男性が救急搬送されてきました。すでにリザーバーマスクで15L/分で酸素投与が行われています。しかし、SpO2は85%から上昇せず、患者さんも呼吸困難を訴えています。あなたは酸素流量を増やせばよいのかなと考えています。
酸素療法では、低酸素の“原因”を改善できない
はじめに、酸素療法は疾患に対する根本的な治療法ではありません。あくまで維持療法であり、その間の診断や治療が並行して行われる必要があります。
窒息を例に挙げると、気道を閉塞している原因を取り除かなければ、酸素をどんなに投与しても酸素化の改善は期待できません。つまり、原因によっては維持療法にもならない可能性があるのです。
また、酸素療法は吸入する酸素の割合は増やしますが、“呼吸”の補助は行ってはくれません。真の意味で呼吸の補助が必要な場合には、いたずらに酸素療法を継続するのではなく、すみやかに人工呼吸を行う必要があります。
それを判断するには、低酸素血症の原因を探ることが非常に重要です。
酸素を増やしても無意味な場合もある
低酸素血症の原因には、①肺胞低換気、②シャント、③拡散能低下、④換気血流不均等があります(表1)。
広範囲なシャントが原因の場合、酸素投与でSpO2を改善させることは困難です。また、本人の呼吸努力では補えないほど肺の障害が強い場合も、酸素療法によるSpO2の改善は期待できません。
これらをふまえると“低酸素血症の改善=酸素療法”では通らない部分が酸素療法の限界といえます。
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