【第1回】低流量システムと高流量システムの違い
【第10回】SpO₂の数値だけで呼吸を評価していい?
【第12回】SpO₂が100%のままでの管理でいい?
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よくある酸素療法中の管理の場面のギモンに答えます。
肺炎の診断を受けた50歳男性が救急搬送されてきました。すでにリザーバーマスクで15L/分で酸素投与が行われています。しかし、SpO2は85%から上昇せず、患者さんも呼吸困難を訴えています。あなたは酸素流量を増やせばよいのかなと考えています。
酸素療法では、低酸素の“原因”を改善できない
はじめに、酸素療法は疾患に対する根本的な治療法ではありません。あくまで維持療法であり、その間の診断や治療が並行して行われる必要があります。
窒息を例に挙げると、気道を閉塞している原因を取り除かなければ、酸素をどんなに投与しても酸素化の改善は期待できません。つまり、原因によっては維持療法にもならない可能性があるのです。
また、酸素療法は吸入する酸素の割合は増やしますが、“呼吸”の補助は行ってはくれません。真の意味で呼吸の補助が必要な場合には、いたずらに酸素療法を継続するのではなく、すみやかに人工呼吸を行う必要があります。
それを判断するには、低酸素血症の原因を探ることが非常に重要です。
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