SpO2100%で管理するのは「意味ない!」

 酸素解離曲線(図2)は動脈血酸素分圧(PaO2)とSaO2(SpO2)の関係を示したものです。

 British Thoracic Societyの酸素投与ガイドラインでは、成人急性期患者に対してはSpO2 94~98%を目標に管理すること4が推奨されています。

 その理由として、高濃度酸素投与を行っている場合、図2からもわかるようにSpO2100%は動脈血酸素分圧でいうと100~500mmHgの広い範囲に対応することが挙げられます。

 そのため、PaO2が200mmHgから100mmHgに急激に低下してもSpO2は100%のままで、患者さんの変化に気づくことが遅れる可能性があります。よって、簡易型酸素マスクから経鼻カニューレに変更し、流量を下げて適切なSpO2で管理していく必要があります。

図2 酸素解離曲線
1.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会 酸素療法マニュアル作成委員会,日本呼吸器学会 肺生理専門委員会編:酸素療法マニュアル.日本呼吸ケア・リハビリテーション学会,日本呼吸器学会,東京,2017:37-39.
2.桑平一郎訳,JOHN B WEST著:ウエスト 呼吸生理学入門 正常肺編.メディカル・サイエンス・インターナショナル,東京,2009:139-142.
3.医療情報科学研究所編:病気がみえるvol.4 呼吸器.メディックメディア,東京,2007:43.
4.British Thoracic Society Emergency Oxygen Guideline Development Group:BTS Guideline for oxygen use in adults in healthcare and emergency settings.Thorax 2017;72(supple1):ii1-ii90.
1.尾崎孝平:非挿管下の酸素療法.救急・集中治療 2014;26(9・10):1175-1177.
2.瀧健治:呼吸管理に活かす呼吸生理改訂版.羊土社,東京,2011:103-104.
3.道又元裕,小谷透,神津玲編:人工呼吸管理実践ガイド.照林社,東京,2009.
4.道又元裕編:新・人工呼吸ケアのすべてがわかる本.照林社,東京,2014:106-133.
5.露木菜緒:酸素療法.重症集中ケア 2011;10(2):42-50.

本当に効果がある酸素療法【第13回】COPD患者に、必要量以上の酸素投与は効果がある?

この記事は『エキスパートナース』2019年8月号特集を再構成したものです。
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