人は一人では生きていけない。家族や友人の面会が力に

 ICUでもう一つ実感したのは、「人は一人では生きていけない、誰かがそばにいてくれるからこそ生きていける」ということです。挿管されたままの状態で入室し、つらく先が見えなかった日々のなかで少しずつ回復し無事退室できたのも、ICUをはじめ病院のスタッフのおかげです。

 ありがたいことに、家内も1日3回面会に来てくれました。それでもある意味「閉鎖空間」においては、この先本当によくなるのか不安になってしまい、落ち込んで家内の手を取って泣いてしまったことも何回かありました。

 そのとき力になってくれたのは、友人や仲間です。家内と一緒に何人か面会に来てくれていろいろ会話できたことが非常に精神的な助けとなり、おかげでICU症候群にならずにすんだと言っても過言ではありません。

 誰かと会話ができる、誰かが話を聞いてくれる、もしくはそばにいてくれるということに、どれだけ助けられたかわかりません。「人は一人では生きていけない」、

 本当に実感したとともに、今後の自分自身の活動にも大きく影響を与えそうな2週間でした。

がんになった外科医 元ちゃんが伝えたかったこと【第5回】チーム医療~医療者と患者とのギャップ

『がんになった外科医 元ちゃんが伝えたかったこと』

西村元一著
照林社、2017年、定価1,430円(税込)
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