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がん終末期ケアで重要な臨死期サインの見きわめ方#5
がん終末期では、バイタルサインや心電図モニタの数値にとらわれず、臨死期の症状を見きわめることが重要です。臨死期の身体的徴候や看取りに向けた家族支援など、看護師が知っておきたいポイントを解説します。 「がん終末期ケアの“やってはいけない”」の連載まとめはこちら がん終末期ケアのNG数値にとらわれて、臨死期の症状を見逃してはいけない〈理由〉バイタルサインだけでは予後を示す指標となる根拠が、現時点では見受けられないから バイタルサインや心電図モニタの数値だけにとらわれるのは危険 現時点で、バイタルサインが患者さんの予後を示すパラメータとなるエビデンスはありません。 そのため、バイタルサイン・心電図モニタの数値にとらわれて、「意識混濁」「終末期低活動性せん妄」など臨死期の身体的徴候の症状を見逃してはいけないと考えます。 数値だけでなく日ごろから患者さんを看ている私たちの視点を大切にし、いつもとの違いを把握していく必要があるでしょう。 医療者間で現状を共有する 患者さんの死を予測したときは、多くの病院で習慣的に、頻回にバイタルサイン測定を実施し、心電図モニタやパルスオキシメータで常時観察していることも少なくないのではないでしょうか。 もちろん、夜勤帯など看護師の少ない現場において複数の患者さんを担当している現状からは、危機管理について言えば、一概にモニタ類をすべて排除することは難しいでしょう。 しかしいずれにしても、看護師が患者さんの臨死期の身体的徴候を見逃してしまっては話になりません。そこから読み取れる予後のめやすについて医療者間で現状を共有し、 死に向かう患者さんの苦痛を最小限にすることを考えていく努力が必要となります。 臨死期の身体的徴候とは? 終末期がん患者さんの臨死期(予後が1週間程度)における徴候について、看護師が身につけておきたい知識を表11に示します。 表1 亡くなる徴候と出現時間 死前喘鳴出現率:35%特徴:咽頭部でごろごろと音を立てながら呼吸をする死亡前に徴候が現れた時間(平均±標準偏差/中央値):57±82/23時間前 下顎呼吸出現率:95%特徴:呼吸とともに下顎が動く呼吸の仕方死亡前に徴候が現れた時間(平均±標準偏差/中央値):7.6±18/2.5時間前 四肢のチアノーゼ出現率:80%特徴:四肢末端から、循環不全を示す色調の変化が見られる死亡前に徴候が現れた時間(平均±標準偏差/中央値):5.1±11/1.0時間前 橈骨動脈の脈拍が触知できない出現率:100%特徴:循環不全の結果、血圧が低下し、手関節部での脈を触知できなくなる死亡前に徴候が現れた時間(平均±標準偏差/中央値):2.6±4.2/1.0時間前 (文献1より引用) このブロック以降のコンテンツは非表示になります 現在までに、がん患者さんが死亡前どのような身体的徴候を呈するかを観察した研究はほとんどないとされています。 しかし、そのなかでも意識混濁、 終末期せん妄、 死前喘鳴、 下顎呼吸、 四肢のチアノーゼ、 脈の触知不可といった徴候があることがわかっています1。表1の研究は、がん患者さんにおいて亡くなる徴候が出現した時間を表しているもので、これらの身体的徴候に注目することで、およその予後を推測することができます。 看取りのケアと臨死期のバイタルサイン測定 患者さんに前述の身体的徴候を認め、看取りの時期に入ったとき、死を目前にした患者さんに対するケアとしては、次のことが大切になってきます。 ①苦痛緩和のためにあらゆる手段を用いて安楽を図る②患者さんをけっして 1 人にしない③生命の自然な営みとしての「死」を静かに見守る そして、ご家族に対しては臨終についてのインフォメーションを提供し、心の準備ができるように援助しなければなりません。臨死期にバイタルサインをとることの意味(表2)としては、今後、患者さんに起こりうる変化をご家族へ説明しながら、患者さんとの死別を受け止める支援をしていくことにつながると考えます。 表2 臨死期におけるバイタルサイン測定の意味①「その人のいつもとの違い」がわかる②「脈をみる」行為は医療の原点であり、本人や家族の安心感が増す③脈のとり方を指導することで、家族にも役割が生まれる(状態悪化時に“まだがんばっている”ことの実感が得られやすい:生の実感)④不必要なモニタリングをやめることで、「その人を看る」ことに家族も医療者も集中できる*“誰の安心のための心電図モニタか?”を考えることも重要 がん患者さんにおいては月~年単位で徐々に衰弱し、月~週単位で変化が速くなることが典型的といわれています。私たちはこの「衰弱し変化が早まる」状態に目を向けながら、日ごろからさまざまな角度からアセスメントして、患者さんの状態把握に努める必要があります。 まとめ●臨死期の身体的特徴を知り、“いつもとの違い”がないか観察する●臨死期であると察知したら、看取りに向けたケアに移行し、家族への支援も行う 引用文献1.Morita T et al.:A prospective study on the dying process in terminally ill cancer patients.Am J Hosp Palliat Care 1998;15(4):217-222. 参考文献1.日野原重明 編:フィジカルアセスメント-ナースに必要な診断の知識と技術-(第4版).医学書院,東京,2006.2.柏木哲夫 監修,淀川キリスト教病院ホスピス 編:ナースのためのホスピスケアマニュアル(第4版).金原出版,東京,1996. この記事を読んだ方におすすめ終末期のバイタルサイン変化:亡くなる前のサインとは?救急・ICUにおける終末期ケアが注目される理由とは? 次回の記事:【第6回】がん終末期の栄養管理:QOLを高める食事の工夫と心のケア(10月28日配信予定) ※この記事は『エキスパートナース』2015年6月号特集を再構成したものです。当サイト内の文章・画像等の内容の無断転載および複製等の行為を禁じます。
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【連載まとめ】バイタルサインの常識
測定の方法からアセスメントの根拠まで一気にアップデート!知っているようで意外と知らないバイタルサイン数値の“測定手技”や“判断の根拠”をわかりやすく紹介します。「深部体温測定時の注意点」「呼吸数を1分間実測するのはなぜ?」など、知りたいポイントが満載です。 【第1回】深部体温測定時の注意点 〈目次〉①体温計の感温部を腋窩中央のくぼみに正確に当たるようにする②上腕と体幹を密着させることで腋窩を閉ざした状態を維持する③汗の気化熱に注意する④外気温が低い環境で腋窩が解放された状態が長く続いた場合、密着時間をつくってから測定する・高齢者、子供の体温測定時 詳細はこちら 【第2回】発熱時のクーリングの有効性 〈目次〉・体温調節のしくみ・クーリングが“有効”な対象患者・クーリングによってかえって熱産生を招く場合がある 詳細はこちら 【第3回】解熱の必要性を判断するポイントは? 〈目次〉・どの程度が“発熱”かは個人差が大きい・“解熱が必要かどうか”は慎重に検討する必要がある・“解熱したこと”を確認できるポイントは1~2日 詳細はこちら 【第4回】脈拍測定から血圧を推測するには? 〈目次〉・脈は心機能や血流の異常を示すサイン。でも測定できないとき・血圧計だけではない“脈の見かた” 詳細はこちら 【第5回】モニター心電図の心拍数と実測値の脈拍数、差異に注意! 〈目次〉・心臓から拍出される血液が少なくなると、「モニター表示(心拍数)」と「実測値(脈拍数)」に差異が出る・「患者自身の心拍数」と「脈拍数」に差異が出る例・モニターの拾う情報により「心拍数」と「脈拍数」に差異が出る例 詳細はこちら 【第6回】呼吸数を1分間実測するのはなぜ? 〈目次〉・徐呼吸では1分間の実測で呼吸数の把握を・ただし、“呼吸数だけ”で必ずしも見抜けるわけではない 詳細はこちら 【第7回】呼吸数を1分間うまく実測するには? 〈目次〉・患者さんが呼吸を意識することがないようにして測定・鼻翼や胸郭・頸部の動きなど全体を観て呼吸数を測定する 詳細はこちら 【第8回】中枢の異常が呼吸数低下の原因に 〈目次〉・呼吸数低下の原因に「中枢の異常」・呼吸が保たれるメカニズム 詳細はこちら 【第9回】死戦期呼吸とは?『JRC蘇生ガイドライン2020』での対応 〈目次〉・死線期呼吸は心停止後数分間に生じる・呼吸の確認は10秒以内に 詳細はこちら 【第10回】血圧の下げすぎに注意!降圧管理目標の現在のエビデンス 〈目次〉・高血圧患者の現状・降圧目標の現状・生活習慣の見直しを行うことの重要性は変わらない 詳細はこちら 【第11回】電子血圧計の測定値の注意点 〈目次〉・水銀血圧計は動作確認が必要、では自動血圧計は?・不整脈患者への自動血圧計の使用は要注意 詳細はこちら 【第12回】乳がん術後、シャント肢、麻痺の場合、血圧測定は反対側で? 〈目次〉・内シャント側で測定すると閉塞する危険がある・乳がん術後(リンパ郭清)の患側での測定はリンパ浮腫の危険性あり・麻痺側の場合の対応・下腿での測定が第1選択 詳細はこちら 【第13回】血圧調整の影響因子と変動の範囲 〈目次〉・血圧調整のさまざまな影響因子・いつもの収縮期血圧より10mmHg程度の変動は通常範囲内・正確な方法で血圧測定を行うことが前提 詳細はこちら 【第14回】血圧の24時間モニタリング測定の必要性と注意点 〈目次〉・24時間モニタリングの必要性・24時間モニタリング時の観察・注意点・カフ装着部位の皮膚の観察・24時間モニタリングの再検討 詳細はこちら 【第15回】バイタルサイン測定の頻度の決め方 〈目次〉・バイタルサインが不安定だと、経験的に観察を増やすことも多い・バイタルサイン測定の頻度の参考として「NEWS」を見てみよう 詳細はこちら 【最終回】終末期のバイタルサイン変化 〈目次〉・終末期のバイタルサイン変化に関するさまざまな研究・「呼吸」と「意識レベル」が重要と考えられる 詳細はこちら そのほかの連載はこちら
特集記事【連載まとめ】重篤な便秘の見きわめや看護ケアのポイント
便秘には、ときには重篤化する病態が潜んでいることも。看護師が患者さんの重篤な便秘に気づくには?見きわめ方や看護ケアのポイントを解説する全13回の連載です。 【第1回】重篤な便秘の定義と観察ポイント 〈目次〉●重篤な便秘の定義とは?●「便秘」と「重篤な便秘」の境目は?・便秘症のターニングポイント 詳細はこちら 【第2回】重篤な便秘のはじまり「糞便塞栓」とは? 〈目次〉●宿便が糞便塞栓に移行●糞便塞栓と鑑別が必要な疾患は?①器質的な狭窄・閉塞病変②慢性巨大結腸・直腸症(特発性・続発性・ヒルシュスプルング病・同術後・慢性大腸限局型偽性腸閉塞)③急性大腸偽性腸閉塞症(Ogilvie 症候群)④急性腸間膜血行不全(AMI)、非閉塞性腸間膜虚血症(NOMI) 詳細はこちら 【第3回】直腸における糞便塞栓とは?症状・検査・治療 〈目次〉●直腸における糞便塞栓の症状・初発症状:肛門痛と外痔核の腫脹で自覚される・初発症状:よく下痢便(溢流性便失禁)を伴う・遅発症状:下血が主訴で、肛門痛が軽度な場合も・遅発症状:菌血症による発熱にも注意●直腸における糞便塞栓の検査・診断・腹部単純撮影、大腸内視鏡検査、血液検査を行う●直腸における糞便塞栓の治療方法・摘便し、浣腸を実施して治療する 詳細はこちら 【第4回】結腸の糞便塞栓・糞便性イレウスとは?症状・検査・治療 〈目次〉●結腸における糞便塞栓・糞便性イレウスの症状・初発症状:初期の症状は見逃されやすい・遅発症状:症状出現期には、多様な症状が出現・遅発症状:全身性炎症反応症候群や、ショックが起きることも●結腸における糞便塞栓・糞便性イレウスの診断・腹膜炎の症状と便の観察を行う●結腸における糞便塞栓・糞便性イレウスの検査方法・大腸内視鏡検査で器質的原因や宿便の位置を見る・閉塞性腸炎では、虚血性腸炎、潰瘍、腸管壊死が起こる・糞便性イレウスの診断には、腹部造影CTを実施●結腸における糞便塞栓・糞便性イレウスの治療方法・発症初期:腸管蠕動の亢進や、便の軟化を助ける薬剤等を用いる・症状出現期以降:大腸内視鏡による治療を行う●直腸・結腸の糞便塞栓の検査と治療のまとめ 詳細はこちら 【第5回】便秘のアセスメント基準とは? 〈目次〉Q. 便秘のアセスメント基準、「3日に1回」はなぜ?●便秘の定義とは?・わが国での各学会の便秘の定義・機能性便秘の診断基準(RomeⅢ診断基準)●便秘は日数より「規則正しさ」や「性状」が重要 詳細はこちら 【第6回】寝たきり患者さんの便秘予防のポイント 〈目次〉Q. 寝たきり患者さんの便秘を予防するには?●「寝たきり」が排便に与える影響とは?●便秘予防のポイントは生活習慣や食事内容の改善 詳細はこちら 【第7回】絶食中の排便コントロールはどうする? 〈目次〉Q. 絶食中の患者さん、もう3日便が出ていないけれど大丈夫?●便ができるしくみは?●絶食中の排便コントロールのポイント 詳細はこちら 【第8回】下剤を投与しても便が出ない場合はどうする? 〈目次〉Q. 下剤を投与しても便が出ない場合はどうする?●下剤の種類と選択●「便があるのに出ない」場合は随伴症状や全身への影響をチェック●便のトラブルを重症化させないための「日常生活指導」 詳細はこちら 【第9回】水様便が漏れる場合の対処法は? 〈目次〉Q. “水様便が漏れる”患者さんには、止痢剤を使えばよい?●下痢の原因は?●硬便があれば、摘便か下剤等を投与 詳細はこちら 【第10回】便秘予防のために必要な1日水分摂取量の目安は? 〈目次〉Q. 便秘予防のために必要な1日水分摂取量は?うまくとれない場合、どうする?●「○mL飲めば便秘が予防できる」というエビデンスはない●水分摂取が便の生成に及ぼす影響●便の生成には食物繊維が必要 詳細はこちら 【第11回】痔など肛門病変がある場合の排便コントロール 〈目次〉Q. 痔など肛門病変がある場合の排便コントロール、どうする?●肛門疾患による排便への影響は?●肛門疾患患者の排便コントロール 詳細はこちら 【第12回】抗がん剤や麻薬を使用しているがん患者さんの便秘予防 〈目次〉Q. 抗がん剤や麻薬を使用しているがん患者さんの便秘予防、どうする?●がんの治療薬が排便に及ぼす影響は?●化学療法中や麻薬投与中の患者さんの排便コントロール 詳細はこちら 【最終回】便秘予防のための正しい浣腸・摘便 〈目次〉●浣腸をする際の注意点●浣腸カテーテル挿入のめやす●摘便のポイント●浣腸・摘便の禁忌疾患・病態(一例) 詳細はこちら そのほかの連載はこちら
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