がん治療・ケアの最新知識を紹介。今回はCTRCD（がん治療関連心機能障害）を取り上げます。がん治療薬との関連性や、予防と対応のポイントを解説します。

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　がん診療中の循環器関連の問題といえば、以下の2つがまずはおさえておきたい主要な病態になります。
①CTRCD（がん治療関連心機能障害）
②CAT（がん関連血栓症）

心血管合併症（急性期）① CTRCD（がん治療関連心機能障害）

おさえたいポイント

●CTRCDはがん治療薬による心毒性で、さまざまな治療薬において発生が報告されている。
●発現の早期発見が重要であり、バイオマーカーや心電図、心エコーについて“普段の状態”を把握して異常がないかをチェックする。

主なCTRCDとがん治療薬の関連

　CTRCDとは、いわゆるがん治療薬による心毒性（化学物質による心筋へ損傷を与える性質）です。
ずっと以前からアドリアマイシン心筋症（と、それによる心不全）は有名ですが、がん治療薬による心毒性はアドリアマイシン、つまりアントラサイクリン （乳がんや白血病に用いられるがん治療薬）によるものだけではありません。
　
　HER2陽性乳がん患者へのトラスツズマブ （ハーセプチン®）、そしてベバシズマブ（アバスチン®）をはじめとした血管新生阻害薬のほか、多くの分子標的薬でも心毒性や動脈などでの血管障害が報告されています。

　近年、多くの新規がん治療薬が臨床現場に登場していますが、それら新規薬剤においてもCTRCDをはじめ、高血圧や虚血性心疾患などの副作用が報告されています。
　新規がん治療薬による循環器的副作用について、常日ごろからトレンドのアップデートが大事になります。表1に、主だったがん治療薬と関連するCTRCDや心血管障害を示します1。

　話は戻りますが、心筋細胞障害の力が最も強い薬剤は、やはりアントラサイクリンです。アントラサイクリンによる治療患者については、今後も引き続き注意深い観察が必要です。

表1　がん治療に関連したCTRCDや心血管障害の一覧

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