ワケがあって医師がオーダーしている画像検査。臨床場面でナースがとりたい画像からの情報をわかりやすく示します。第36回は、肺塞栓症を疑って胸痛・呼吸困難での画像を見る際のポイントを紹介します。
胸痛・呼吸困難での画像の着目ポイントは第32回を参照ください。
肺塞栓症を疑って、肺動脈に血栓がないか見ている
〈症例〉
●80歳代男性。肺がんのターミナルケアで入院中。ベッドから動くのは難しく、長期臥床していた。前日まで元気であったが、突然に呼吸困難を自覚した
●体温36.7℃、血圧 110/60mmHg、脈拍120回/分、SpO2 89%(酸素マスク6L/分)
●聴診上異常は認めなかった。採血、胸部X線、胸部単純CTを行った。血中D-dimerが10μg/mL台と高値であること以外異常が見つからなかったが、担当医は造影CTの検査準備を伝えてきた
まず血管を確認しましょう。図1の中央上部の白い部分は“人”の字に見えませんか?これが肺動脈です。ここに詰まった血栓は、造影剤によって白くなった血管内とは異なり、黒っぽいグレーに映ります。
図1 肺塞栓症を認める胸部造影CT
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