がん治療に用いられるオピオイド。オピオイド開始後に眠気が現れた場合は、オーバードーズ(過剰投与)の可能性があります。眠気の原因や、観察のポイント、注意したい呼吸抑制について解説します。

●医療用麻薬(オピオイド)による眠気
●オピオイドによる眠気への対応
●オピオイドによる睡眠時の呼吸抑制に注意

「看護ケアのギモン」シリーズの記事一覧

Q. オピオイドを開始したら眠気が出現!これはオーバードーズ(過剰投与)?

ひとこと回答
オピオイドの過剰投与による眠気だと思い込まず、まずは眠気の原因をアセスメントしましょう。オピオイドによる眠気であれば、眠気が患者にとって苦痛かどうか確認し、苦痛でなければ経過を観察しましょう。

医療用麻薬(オピオイド)による眠気

 医療用麻薬(オピオイド)の副作用の1つ「眠気」は、投与開始時にときどきみられる症状です。オピオイドの作用は、「鎮痛」→「鎮静」→「呼吸抑制」の順でみられるため、呼吸抑制の前は強い眠気が出ます。

 眠気があるときは、それがオーバードーズ(過剰投与)によるものか、そうではないのか、眠気の原因をアセスメントすることが重要です。がん患者はさまざまな要因で眠気が生じることがあります(下記)1。
 オピオイドなど薬剤性のもの以外の眠気で原因治療が可能なものに関しては、まず原因治療を行います。

がん患者の眠気の主な原因

薬剤性
睡眠薬、抗精神病薬、抗うつ薬、抗けいれん薬、抗不安薬、抗ヒスタミン薬、オピオイド

代謝性
低ナトリウム血症、高カルシウム血症、肝不全、腎不全、血糖異常、脱水、低酸素血症

中枢神経障害
脳転移、認知症

体力消耗状態
放射線治療、化学療法、悪液質 など

その他
睡眠障害、睡眠時無呼吸症候群、うつ病、せん妄、低血圧、貧血

(文献1より引用、一部改変)

オピオイドによる眠気への対応

 オピオイドによる眠気が出た場合は、まず患者さんにとって苦痛かどうか確認します。例えば、痛みがひどく2~3日眠れていない患者さんは、ずっと眠っていても“睡眠不足を解消しているだけ”の場合もあります。

 “話していても眠ってしまう”“眠くて起きていられない”など、異常に眠い場合にはオーバードーズの可能性を考えます。
 患者さんに苦痛がなければ経過観察しますが、日常生活に支障がある場合は使用量の20~30 %をめやすにオピオイドの減量を検討します。

 なお、オピオイドによる眠気は通常3~5日で耐性ができるため、そのうち消失することがほとんどです。

オピオイドによる睡眠時の呼吸抑制に注意

 患者さんがとてもよく寝ているとき、注意したいポイントが「呼吸抑制」です。呼吸抑制は呼吸回数の減少および1回換気量の減少が問題になります。
 呼吸回数6回/分以下の場合は、ただちに医師に報告します(図1)2。

図1 呼吸抑制発現時の対応

呼吸抑制発現時の対応
(文献2を参考に作成)

 治療には拮抗薬のナロキソン塩酸塩が投与されますが、作用持続時間が短いため、効果をみながら繰り返し投与が必要なこともあります3。

この記事は会員限定記事です。