白血病や悪性リンパ腫、多発性骨髄腫など、血液がんの最新の治療・ケアについて解説。今回は臓器移植希望者、ドナー、医療従事者の調整を担う造血細胞移植コーディネーターについて、詳しく紹介します。
レシピエント、ドナー、医療従事者の調整を担う新たな専門職
造血細胞移植コーディネーター(Hematopoietic Cell Transplant Coordinator:HCTC)とは、造血幹細胞移植を受けるレシピエント(臓器移植希望者)とそのドナー(臓器移植提供者)双方にかかわり、移植が円滑に行われるよう調整役を担う専門職です。
一般的に医療は、患者さんと医療従事者の二極構造からなっていますが、移植医療はドナーが加わり、三極構造となるため、より複雑な構図となります。そのため調整役が必要となり、HCTCという新たな職種が誕生しました。
それぞれの職種の専門性を活かして活動
日本では1990年代に活動が開始し、2012年から日本造血細胞移植学会によるHCTCの認定制度が始まりました。現在、職種背景が看護師、MSW(medical social worker:医療ソーシャルワーカー)などさまざまなHCTCが、各人が有する職能を適切に活用しながら、職種横断的な幅広い活動を行っています。
日本造血細胞移植学会の認定HCTCは約200名在籍し、年々増加傾向にあります。
移植医療は多くの職種が関係するチーム医療によって成立しています。それぞれの職種はその専門性を発揮し、チームのなかで役割を果たします。
そのなかでHCTCは、移植前後にわたって「患者さん」「ドナー」「移植チーム」の情報を収集整理し、治療が円滑に進行するよう調整を行っていきます。
また、移植の実施には多くの職種、機関の関係者間のさまざまな利害関係が生じますが、HCTCは中立または第三者的な立場から調整することが求められます。
移植全体のプロセスに継続・中立的にかかわることが大切
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