看護師が知っておきたい、アピアランスケアの知識を紹介。今回は抗がん剤治療による皮膚障害や爪囲炎についてです。発現時期や症状の変化を、がん化学療法看護認定看護師が解説します。

Q. 皮膚障害や爪囲炎は、いつから起こる?いつ治る?

ひとこと回答
初発発現時期は投与した薬によって異なります。治る時期は症状によって異なり、繰り返し治療が必要なものもあります。

抗がん剤の種類によって発現時期は変わる

 抗がん剤による皮膚障害には、過敏症、手掌・足底発赤知覚不全症候群(hand-foot syndrome:HFS。以下、手足症候群)、色素沈着、爪の変化などがあります。
 
 手足症候群の初発発現時期は、フッ化ピリミジン系薬剤(カペシタビン、TS-1など)とキナーゼ阻害薬(スニチニブ、レゴラフェニブなど)とでは異なります。
 キナーゼ阻害薬は薬剤の種類により多少時期に違いはありますが、早ければ投与後1~2週から発現し、発現のピークは1サイクル目(1か月以内)が多いです。徐々に発現頻度は減るものの、服用開始から12週間程度は発現好発時期であるため注意が必要です。

 フッ化ピリミジン系薬剤では、多くは投与後4か月以内に初発しますが、10か月まで初発を認めることもあるので、注意が必要です。手足症候群の好発部位は、手や足の皮膚、爪などです。特に手や足で圧力のかかる部位に症状が現れます。具体的な症状として、初期には、限局性に紅斑が現れ(図1①②)、進行すると角化や亀裂を生じます(図1③④)。さらに進行すると、水疱や膿疱が形成されることもあります1図1⑤⑥⑦)。

この記事は会員限定記事です。