大腸全摘術後の排泄障害をもつ家族性大腸腺腫症患者さんは、独自の対処方法を確立していました。その研究結果をもとに、実践したい看護ケアを紹介しています。
前回の記事:家族性大腸腺腫症の排泄障害:患者の対処法習得プロセスは?
- ●大腸全摘術後の家族性大腸腺腫症患者さんに対するケア
Step1:対処方法を導き出す支援
Step2:対処方法の指標作成を促す支援
Step3:独自の対処方法への転換を支える支援
Step4:社会復帰のイメージ化を促しながら柔軟な対処方法を導き出す支援
●排泄障害への対処方法を導き出し、次世代につなぐ
●親の体験をネガティブに捉えている場合には、疾患が同じでも体験は異なることを認知できるように働きかける
●看護外来などでの継続的な支援を行う
大腸全摘術後の家族性大腸腺腫症患者さんに対するケア
Step1:対処方法を導き出す支援
●症状体験をていねいに確認する
●患者さんに合った方略を提案する
●自分で対処方法を導き出す支援をする
次世代が排泄障害は乗り越えられるというイメージをもてるよう、対処方法を導き出す
大腸全摘術後の排泄障害は、昼夜を問わず1日に10~20回程度の下痢を一時的に呈することになります。このような状態が続くと、患者さんは食事や睡眠が十分にとれなくなり、QOLが著しく低下します。この時期に自分の身体に合った対処方法を見つけることができず、排泄障害が半年~1年と長期化した場合この体験がトラウマとなり、ともに生活している子どもにも影響を与える可能性があります。
看護師は目の前の患者さんの症状体験が次世代にもつながることを意識し、症状体験をていねいに確認しながら、患者さんにあった方略を提案していくことを通して、患者さんの排泄障害が1日も早く改善できるように対処方法を導き出す支援をしていく必要があります。
このようなかかわりにより、患者さんの体験がトラウマになることなく、できるだけポジティブな体験として位置づけられれば、次世代には“乗り越えることのできる試練”として記憶されることになります。
これは、将来的な発症が予測できる疾患の場合には、とても重要なことです。
Step2:対処方法の指標作成を促す支援※
●感情表出を促す
●視野を広げて対処方法のめやすが見つけられるよう同病者の体験を紹介する
●疾患は同じでも親とは異なる体験をしていることが認知できるよう、働きかける
※親の体験をネガティブに捉えている場合
親の体験を想起する機会など、対処方法の手がかりをつくる
患者さんが身体と向き合いながら対処方法を模索するとき、何らかの情報の手がかりを得ようと探索をはじめることになります。その際、身近で同じような体験をしている人の存在はとても大きな影響を与えます。
例えば、親の体験がポジティブに記憶されている場合、患者さんは「親ができたので、自分にもできるはず」と、対処方法を獲得していくストーリーラインを迅速に描くことができます。
しかし、親の体験をネガティブに捉え否定的感情を抱いている場合、自分の体験が受け入れられなかったり、現実認知の歪みが生じたりする可能性があるため 1、留意する必要があります。このような場合には、感情表出を促すことを通して、疾患は同じでも親とは異なる体験をしていることが認知できるよう働きかけることが大切です。
また、患者さんが同じ症状体験を持っている人を通して、対処方法のめやすが見つけられるよう、同病者の体験を紹介してみるのも1つです。
Step3:独自の対処方法への転換を支える支援
●症状の変化に合わせた対処方法のめやすを作成する
●症状体験および対処能力を引き出す
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